2013 Fiscal Year Research-status Report
魚をおいしく食べるための臭気成分を指標とした魚肉の品質保持技術の開発
Project/Area Number |
25350100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
谷本 昌太 県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (80510908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 満哉 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70149871)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | におい成分 / 魚 / 臭い嗅ぎ分析 / SPME法 / 脂質酸化 / 脂肪酸組成 / ハマチ |
Research Abstract |
魚の部位による臭いの違いを明らかにする目的で、SPME 法を用いて血合肉など各部位における臭い成分の定量比較を行うとともに、臭い嗅き分析を併用することで、各部位における魚臭主体成分の解析を行った。試料としてハマチの普通肉(背肉、腹肉、尾肉)及び血合肉を用いた。また、脂質酸化の指標としてチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)及び過酸化物価(POV)、さらに脂肪酸組成を分析し、臭いとの関係を考察した。GC/MS分析により54種類の化合物を同定した。これらの化合物の多くは脂質酸化に由来する成分であり、最も多く含まれる化合物はどの部位も1-penten-3-olだった。血合肉の定量値は、13種類の化合物が他の部位に比べ有意に高い値を示した。一方,普通肉の臭い成分は部位間に定量値の大きな差は認められなかった。そこで、血合肉と背肉の普通肉について臭い嗅ぎ分析を行った。普通肉では12種類の臭い成分を感知した。最も強度の強い臭いは、KI 1387の未知の化合物(Fishy、 Plastic-like)と、KI 1890の未知の化合物(Sweet-like、 Alcohol-like)で スプリット比=32まで感知した。血合肉では18種類の臭いを感知し、最も強度の強い臭いはKI 1387の未知の化合物で、そのスプリット比は、256以上であった。したがって、新鮮な魚において、普通肉よりも血合肉で臭いに寄与する成分が多く存在し、強度も大きいことが示された。TBARS及びPOVは、血合肉が普通肉に比べ有意に高い値を示した。さらに、脂肪酸組成は、各部位で大きな違いは認められなかった。以上の結果から、血合肉は、新鮮な状態でも、脂質酸化により生じる臭い強度の大きい多くの化合物により普通肉に比べて臭いが強いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた①SPME法による臭い成分の分析として、ハマチの各部位の各揮発性成分の定量と各ピークについての臭い嗅き分析、②脂質含量、③脂肪酸組成、④酸化指標として過酸化物価、チオバルビツール酸反応性物質の分析を終了した。現在、官能検査を検討中である。したがって、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
現状のペースで研究を遂行すれば十分な成果を得ることができると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入備品・ガスクロマトグラフ装置・島津製作所・GC-2014が、アカデミックキャンペーンにより当初予定した金額より安い金額で導入できた。予算要求額と比べて、交付決定額が下回っていたので、次年度の研究に支障がないように慎重にかつ適切な支出に心がけた。この結果として、次年度の使用額が生じた。また、ガスクロマトグラフ装置については、上記に加えて経費削減のため、データ処理装置の購入を取りやめ既存のものを使用している。 使用計画は、下記の通りである(単位千円)。 設備費 ①恒温器・ヤマト科学 IC602(一式×@230)(県立広島大学)230、消耗品費 ①微生物用培地一式 150、②ガラス器具一式 100、③試薬一式 150、④実験用器具・機材一式 150、⑤原材料費一式 150 計 700、国内旅費 ①研究打合わせ(広島-福岡×2回)(日帰り)39、②成果発表(東京×1回)(1泊2日)51 計 90、その他 ①学会発表登録料 10、②投稿料 101 計 111 合計 1131千円
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