2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350106
|
Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
和泉 秀彦 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 教授 (80351211)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 精白米 / 低アレルゲン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
精白米を、0.63%クエン酸溶液および生パイナップル果汁に40℃で6時間浸漬後、水で洗浄し、精白米中に残存しているタンパク質をSDSおよびメルカプトエタノールを含む溶液で抽出し試料溶液とした。それぞれの試料溶液中のタンパク質組成をSDS-PAGEで、14-16kDaアレルゲンを特異抗体を用いたイムノブロットにより検出し、原料米と比較した。さらに、パイナップル果汁中の酵素の作用によって低アレルゲン化されたかどうかを確認するために、加熱したパイナップル果汁を用いて同様の実験を行った。 浸漬後に精白米中に残存しているアレルゲン量は、原料米と比較して0.63%クエン酸溶液浸漬により25%に、生パイナップル果汁浸漬により12%に低減化しており、生パイナップル果汁浸漬の方が低アレルゲン化に効果的であることが明らかとなった。また、精白米を加熱した生パイナップル果汁に浸漬すると、その低アレルゲン効果は弱くなった。よって、米の低アレルゲン化には、酸性溶液浸漬に加えて、パイナップルに含まれるブロメリン(システインプロテアーゼ)が効果的に働くことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究により、酸溶液浸漬および精白米浸漬時に食品添加物であるプロテアーゼ(ニューラーゼ)を使用することで、アレルゲンの低減化が確認できた。 本年度は、酸およびプロテアーゼ(ブロメリン)の両者を併せ持つパイナップル果汁を用いて低アレルゲン化を試みたところ、期待通り約10%にまで低減化がおこり実用化への可能性が示唆された。
|
Strategy for Future Research Activity |
パイナップル果汁を用いた精白米の浸漬により低アレルゲン化に効果がみられたものの、実際にその低アレルゲン米を炊飯してみるとパイナップル臭が残存し、実際に食するには抵抗があった。そのため、本年度は、作製した低アレルゲンを美味しく食するために加工および調理において工夫を施し、実用化へ向けた検討を行う予定である。 また、浸漬後の米粒に残存しているアレルゲンのペプシンに対する消化性をin vitroの系で、さらにそれらをマウスに経口投与した後の小腸内での状態を解析する。この結果、消化性が向上していれば、実際に低減化しているばかりでなく、ある条件での浸漬が精白米のアレルゲン性を抑制している可能性が考察できる。さらに、米アレルギーモデルマウスを作製し、実際に低アレルゲン米を摂取した際に、アレルギー症状(直腸温の低下、炎症など)が抑制されるかどうかを検証する。 最終的には、実際にヒトでも効果があるかどうかを検証する。方法としては、新奇低アレルゲン米のアレルギー患者へのプリック-トゥ-プリックテストにて皮膚症状を観察する。その際に、炎症反応が見られなければ、実際に食べて頂き、摂食後の症状を医師の監督下にて観察する。これらの結果をもとに、新奇アレルゲン米の実用化へと発展させる。
|