2016 Fiscal Year Research-status Report
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25350111
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
北畠 直文 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 教授 (30135610)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 渋味 / 唾液 / 唾液たんぱく質 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究は,茶の渋味に焦点を置いて茶抽出液ならびにタンニン酸とヒト耳下腺から採取した唾液について、その沈殿形成と渋味発現の関係、ならびに沈殿形成にかかわる唾液中のタンパク質の同定等について検討、渋味抑制方法の開発等の研究を行ってきた。 当該年度は、茶の成分であるカテキン類を用いて、カテキンと唾液たんぱく質との相互作用を調べた。すでに先行研究においてカテキンと唾液たんぱく質との相互作用についても報告がなされているが、耳下腺唾液、顎下腺・舌下腺唾液について、個々に検討した例は多くない。それを検討した。 また、先の研究においてゼラチンが唾液たんぱく質と渋味成分であるタンニン酸との相互作用を阻害し、結果として渋味の発現を抑制することを見出していたが、用いるゼラチン素材の種類によって差異があり、抑制効果とゼラチン分子との関連について検討を進めた。結果は、ゼラチンの分子量・分子サイズに依存すること、相互作用をもたらす条件等を見出すことができたが、詳細は今後の課題である。 当該年度は、さらにタンニン酸以外の渋味成分について検討を進めた。また,ヒト耳下腺唾液、顎下・舌下腺唾液を別々に採取し,それぞれについて渋味を呈する①タンニン酸,②ミョウバン,③塩酸を用いて,唾液と混合した場合の沈殿の生成について検討した。①のタンニン酸については、耳下腺唾液と顎下・舌下腺唾液では沈殿形成に顕著な差異が見いだされ、反応する唾液成分が異なり、またその挙動(沈殿形成時間や混合比)にも違いを認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度、一昨年度は大学の管理運営にかかわる業務に時間がかかり、研究の進展が阻害された。しかるに、今年度はそのような大学管理運営から離れ、研究に時間を費やすことが可能であり、急ぎ進捗を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
渋味成分と唾液たんぱく質との相互作用と、渋味発現との関連を系統的に調査研究し、実体を明らかにする。さらに、渋味発現の本体を明らかにする実験を断続的におこなっているが、これを完成させる。
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Causes of Carryover |
すでに結果の項において記述の通り、研究の進捗がやや遅れており、研究費の使用が滞っていた。また、これまでの購入試薬ならびに他の研究費を用いて購入した試薬を転用して用いていたために本研究費の使用に至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験遂行に必要な試薬。ガラス器具等の購入ならびに論文作成に要する費用に充てる。
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