2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350117
|
Research Institution | Shiga Junior College |
Principal Investigator |
原 知子 滋賀短期大学, その他部局等, 教授 (40192281)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉永 隆夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (40158481)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ポーラスメディア / 煮物 / 対流 / 微小重力 / 回転 / マイクロ波加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
「煮る」加熱調理においては、加熱時の容器内での煮汁温度が均一に上昇、もしくは保持されることが重要である。それには熱対流が大きな役割を果たす。本研究では、具材と煮汁を入れた回転容器を加熱することにより、発生する旋回流による遠心力浮力を用い、微少重力環境下における対流加熱促進の効率の良い方法を解析と実験により調べることを目的とする。解析では具材-煮汁系を流体で満たされたポーラスメディアでモデル化し、乱流領域での流体運動と熱移動を定式化し数値解析を行った。数値計算では3次元差分法を用いているが、円筒中心軸上で発生する特異性のため計算精度が低下する。そのため、軸付近で移流項の平均化では算術平均を用いず流束平均を行った。また、速度の方位角方向成分の取り扱いには級数展開を用いた新しい差分化を導入した。その結果、少なくとも低レイノルズ数では対流パターンが線形解析での結果と定量的に一致し、計算精度が十分よくなっていることが確かめられた。 一方,実験ではマイクロ波加熱時の温度測定が、従来の温度センサーではノイズが大きく現れるため十分な精度で測定できない。そのため、蛍光式光ファイバー温度計を用いて測定することにした。しかし、測定装置が非常に高価になるため、1チャンネル測定装置しか購入できず、単一箇所測定しか行えなかった。主に容器中心部での温度を測定したところ、ノイズが十分減少しており、測定精度が上がっていることを確認した。また、測定時にはマイクロ波が外部に漏れることを防ぐため、注意深く加熱用の電子レンジに測定装置の取り付け加工を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
理論解析では熱流体を記述する運動方程式における平均流に対するk-ε法を用い、熱伝導方程式に乱流プラントる数による乱流効果の補正を行った。しかし得られた結果は乱流の影響が大きくなると流入熱量と流出熱量より予測される結果からずれてくることが分かった。この原因として、円筒軸中心付近での数値誤差が大きくなっていることが判明し、この誤差を補正する数値スキームの改善を起こった。一方、実験ではマイクロ波加熱における、温度測定を試みているが、マイクロ波のためセンサー素材がマイクロ波の影響を受けてノイズが重なり、十分な精度で測定できなかった。そこで、蛍光式光ファイバー温度計による測定を行い、マイクロ波によるノイズの影響が十分小さいことを確認していた。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験では電子レンジの回転速度を上げ、回転浮力の効果を見るため、時間と温度変化を調べる。一方、数値解析では改良した差分法を高レイリー数まで用いる。また、回転力浮力と,重力浮力の対流パターンに及ぼす影響を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
数値解析では円筒軸付近での特異性の発生を抑えるための,数値アルゴリズムの改良に時間がかかった。一方,実験では,マイクロ波のために測定データに大きなノイズが発生し,十分な精度の測定ができなかったため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
数値解析の予備計算が順調であれば、新しいプロセッサー等の購入に充てる。また、実験では、装置の回転部の改良を行い、さらに高速回転での実験に挑む.
|