2016 Fiscal Year Annual Research Report
Extraction of radiocesium from the soil of the fields with biological materials and prevention of loss of trace elements
Project/Area Number |
25350124
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
矢永 誠人 静岡大学, 理学部, 准教授 (10246449)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 除染 / イネ / 土壌 / 原発事故 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島市内のゼオライト処理をしていない田の土壌を採取し、その土壌を用いて実験室内でイネの栽培試験を行った。採取した土壌を4 kgずつ10個のワグネルポットに入れた。これらを3群に分け、第1群は無処理群(4ポット)、第2群はゼオライト30 gを添加したゼオライト処理群(3ポット)、第3群は、Rb及びCs処理群(3ポット)(苗植え付け4週間後に安定同位体のルビジウム及びセシウム水溶液を添加したもの)としてイネ栽培を行った。 出穂後、いくつかの茎を採取し、葉及び穂に含まれる微量元素濃度をPIXE分析法により定量した。その結果、Rb及びCsについては、それらを添加した第3群のイネでのみ定量できた。それらは同モル添加していたが、葉で検出された量はモル比でRb/Cs = 8~9であった。このことは、RbよりもCsの方が土壌に吸着しやすいこと、またはRbの方がイネに吸収されやすいこと等を示していると思われる。 一方、各ポットから採取した玄米についての移行係数は、Csを添加したものでは大幅な増加が見られた。これは、添加された安定なCsが土壌に吸着するとともに、土壌に吸着していた放射性Csを遊離させたことを示していると考えている。一般に玄米より葉や茎の方の放射性Cs濃度が高くなることを考えると、この結果は、安定Csを利用した田の除染の可能性を示すとともに、放射性廃棄物からの放射性Csの分離濃縮の可能性も示唆するものであり、廃棄物の減容化にもつながり、これまでとは全く異なる発想からの除染技術につながる可能性を示しているものと考えている。
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