2015 Fiscal Year Annual Research Report
加齢に伴う脳機能の変動におけるオルニチン摂取の役割
Project/Area Number |
25350125
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
早瀬 和利 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (10144180)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オルニチン / 脳タンパク質合成 / 成長ホルモン / アルギニン / Nerve Growth Factor / 転写過程 / 脳下垂体摘出 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,脳タンパク質合成を例にして,脳機能におけるタンパク質非構成アミノ酸であるオルニチンの役割について,調節メカニズムを明らかにすることである。 平成25年度は,オルニチンによる脳タンパク質合成の調節における成長ホルモンの影響を脳下垂体摘出ラットを用い決定した。脳タンパク質合成速度は,擬似手術群ではオルニチン摂取で有意に増加したが,脳下垂体摘出によりオルニチンの効果は消失した。 平成26年度は,オルニチンの代謝産物であり、成長ホルモン分泌を促進するアルギニンの役割について,脳タンパク質合成への影響を決定し, 脳タンパク質合成の促進作用はアルギニンよりもオルニチンの方が明らかに高かった。 最終年度は,脳組織の維持・生存や学習・記憶機能に係わるタンパク質成分であるNerve Growth Factor(NGF)の転写過程に着目し,オルニチンの脳タンパク質合成への影響について24週齢の成熟ラットを用いて決定した。20%カゼイン食群,20%カゼイン+0.7%オルニチン塩酸塩食群の2群に分け,10日間試験食を摂取させた。NGFの濃度並びにmRNAは,NGF量をELISA法で,mRNAはRT-PCR法で決定した。海馬のNGF量は,食餌からのオルニチン摂取により有意に増加し,他方海馬におけるNGF mRNAのレベルは,オルニチン摂取の影響を受けなかった。 以上の結果から,オルニチン摂取による脳タンパク質合成の調節メカニズムには,体内成長ホルモン濃度の関与が示唆されること,アルギニンの寄与は少なく,主としてオルニチン自身が脳タンパク質合成を促進させる可能性が示唆されたこと,またオルニチンが脳組織の維持・生存に関与している可能性並びに脳タンパク質合成の転写過程において,少なくともmRNAレベルでは寄与していない可能性が示された。
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