2015 Fiscal Year Annual Research Report
大豆製品によるメタボリックシンドローム制御機構ー基礎および疫学研究による検証ー
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25350126
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
酒井 徹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (40274196)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大豆 / 免疫 / 疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで大豆に含まれる成分には免疫調節作用があることを明らかにしてきた。近年の研究では、メタボリックシンドロームの特徴は内臓脂肪における慢性炎症に起因して糖脂質代謝に異常を来すことである。従来は、内臓脂肪に炎症を引き起こすマクロファージが浸潤することが慢性炎症の発端と考えられていたが、近年、炎症性マクロファージの分化に免疫細胞であるT細胞、B細胞または好塩基球が関与していることが明らかとなってきた。我々は、大豆イソフラボンの免疫調節により内臓脂肪におけるマクロファージの炎症の程度を軽減し、その結果としてメタボリックシンドロームに関与する全身の慢性炎症を改善できるのではないかという仮説を立て研究を行った。高脂肪食飼育マウスに大豆イソフラボンであるエクオールの投与を行うと、体重には変化が認められないが、糖代謝が改善傾向にあった。内臓脂肪組織における炎症関連マーカー遺伝子を測定すると、TNF-aでは低下傾向が、またF4/80においては有意な低下が認められた。一方で、動物実験に加え人を対象とした疫学研究にも着手し大豆製品摂取量とメタボリックシンドローム関連指標との関連研究も行った。大豆製品の摂取量が多い群は、魚、野菜、海藻等の食品群の摂取量が高かった。大豆製品摂取量と3年間の間に変動したメタボリックシンドローム関連指標との関連を調べたところ、若年者においては大豆製品の摂取量が多いと腹囲の大きさが少なくなる結果を得ることができた。現在、そのメカニズムを解明しているところである。大豆製品がメタボリックシンドローム関連指標を改善できる可能性を本研究では見いだすことができ、古くから日本をはじめとするアジア諸国で食べられてきた食材の新たな機能性を開拓する基盤的データとなると期待している。
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Research Products
(2 results)