2013 Fiscal Year Research-status Report
TG型γ-リノレン酸の摂取はリポジストロフィー(脂肪異栄養症)を改善できるのか?
Project/Area Number |
25350127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
及川 大地 長崎大学, 教育学部, 准教授 (90571216)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リポジストロフィー / 共役リノール酸 / TG型γ-リノレン酸 |
Research Abstract |
今年度は、TG型γ-リノレン酸(GLA)の摂取がリポジストロフィーを改善できるか探るために、下記の実験を実施した。 一週間馴化したICRマウスを体重が均一になるよう4群に分け、油脂を置換したAIN93Gの粉末飼料を4週間摂取させた。各群に与えた飼料の油脂は ① Control群(Normal): 大豆油7%、② CLA群: 大豆油5%+共役リノール酸(CLA)油2%、③ GLA群: 大豆油5%+GLA含有油脂2%、④ GLA+CLA群: 大豆油3%+TG-GLA含有油脂2%+CLA2% である。一週間ごとにマウスの体重測定を行い、定期的に摂餌量を測定した。ただし、給餌方法は、pair feedingを採用した。4週間の飼育終了後、肝臓、血液、脂肪組織を採取し、臓器重量の測定および生化学的な手法による脂質分析を実施した。血液はヘパリン処理を施し、血漿を分析に用いた。 総摂餌量はpair feedingにより群間に有意差はなく、全群が同量摂取したことが前提条件となった。CLA群の体重増加量は、Control群およびGLA群に比して増加量が少ない傾向にあり、GLA+CLA群の体重増加量はControl群と有意差がない値まで回復した。肝臓重量はCLAを投与した2群で有意に増加し、肝臓中トリアシルグリセロール量も同様の結果が得られた。 一方、白色脂肪組織の重量はCLA群およびGLA+CLA群で明らかに減少したが、GLA+CLA群の白色脂肪量はCLA群より約2倍増加した。血漿分析に関して、GLA+CLA群の遊離脂肪酸濃度は最低値を示し、同群はCLA群よりグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ活性を弱めることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リポジストロフィー発症マウスの作製、TG型GLAの長期摂取による内臓脂肪および肝臓の重量確認、肝臓および血液の脂質分析を計画通り遂行した。脂肪酸分析に関しては、機器の調整および分析値の採取等も含めて実施中である。さらに、CLA投与量の違いによるリポジストロフィーの発症状態の把握や、リポジストロフィーに有効なGLAの摂取量が決定できていないことが次年度への継続課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
臓器中の脂肪酸組成を分析し、CLAおよびTG型GLA摂取による器官中脂肪酸含有率への変動を分析する。さらに、CLAを用量依存的に摂取させ、白色脂肪組織および肝臓の脂質含有量を分析することでリポジストロフィーの発症状態を把握する。また、餌中へのGLA油脂含有割合を増やすなど、成熟期のリポジストロフィー症状に有効なGLA割合を探ることも実施する。 成熟期でTG型GLA油脂の効果がみられた後、リポジストロフィーを発症させた妊娠マウスの脂肪組織の過度な縮小と脂肪肝を確認し、仔マウスのリポジストロフィー症状を成長段階に応じて検証する。
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Research Products
(3 results)