2013 Fiscal Year Research-status Report
NAFLDにおける免疫調節機構の役割と栄養因子の影響
Project/Area Number |
25350132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
川上 貴代 (笹川 貴代) 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (10254567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田淵 真愉美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 講師 (60389020)
湯浅 明子 (小島 明子) 大阪市立大学, その他の研究科, 准教授 (90295709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | NASH / n-3系脂肪酸 / プロバイオティクス |
Research Abstract |
近年,消化管由来の要因として腸管から流入するエンドトキシンや内因性エタノールが炎症性サイトカインの産生亢進,インスリン抵抗性,慢性炎症の惹起をもたらし,メタボリックシンドロームにかかわることが注目されている。これまでプロバイオティクス投与が肝臓における免疫細胞活性化を介して脂肪肝およびインスリン抵抗性を改善するという報告や、n-3系脂肪酸由来脂質メディエータの炎症収束への役割ついても報告があることからプロバイオティクス等各種食事由来栄養成分がNASHでの肝炎症における効果が期待される。今年度はNASHモデルマウスを用いて各種栄養成分の投与による肝炎症や血中炎症性マーカーの程度に及ぼす影響の検証を行うために、まずプロバイオティクスLactobacillus plantarum培養の確立を行った。そして予備実験としてNASHモデルのひとつであるSTAMマウスにおいて試験菌株はヨーグルトとしてマウス体重当たりの投与量を設定し,8週間の投与期間の検討を行った。しかし今回の検討ではスキムミルクのみ投与したコントロールマウスとの比較で体重等の違いはないことは確認できたものの、肝障害の血中生化学マーカー,エンドトキシン値、NASスコアについてもプロバイオティクス乳酸菌投与による有意な差は認めらなかった。一方n-3系脂肪酸を多く含むシールオイルを用いて同様に行ったところ,肝臓の組織学的評価と血中炎症性マーカーの検討において、肝小葉炎症度が低下傾向を示し、NASスコアの有意な低下が認められた。今後は高脂肪LPS投与マウスのモデルを作成し、投与期間および投与方法の検討と確立を行い、プロバイオティクス乳酸菌あるいは高不飽和脂肪酸と抗酸化物質等における影響を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は研究代表者の産前・産後・育児休暇の取得、あるいは休暇取得のための業務調整の理由により本研究の大幅な遅れが生じた。すなわち第1の目的としたNASHモデル動物を用いて抗酸化物質とプロバイオティクス等栄養機能性物質による炎症スコアや線維化の程度の影響の検討については、平成25年度達成予定であった高脂肪低容量LPS投与によるNASHモデルマウスの作成とプロバイオティクス投与による動物実験は研究中断が予想されたことから実施せず、従来もちいたSTAMマウスにより投与期間確認の予備実験のみおこなった。また肝マクロファージ細胞等での免疫応答に及ぼす影響についての検証としてKupffer 細胞における各種栄養成分等の影響についても中断があった。しかしながらプロバイオティクス培養および試料の調整については25年度に確立できていることから、次年度以降でのNASHモデル確立とプロバイオティクスおよび抗酸化物質等のさらに機能性食品開発に関して研究期間および計画の変更が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
産前産後の休暇または育児休業の取得に伴う研究期間延長届により補助事業期間を1年延長する。これにより研究計画の変更を平成26年度ではKupffer 細胞活性化における貪食能への抗酸化物質、アディポサイトカイン、脂肪酸エステルの影響をLPS刺激下で検討する。平成27年度では高脂肪・低容量エンドトキシン負荷の方法にてプロバイオティクス、ビタミン投与による影響をNASHモデルマウスをもちいて組織学的生化学的炎症評価の検討を行う。平成28年度にはこれらの結果をふまえて栄養機能食品の開発と効果の検討を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者の産前・産後・育児休暇の取得にともない、当該年度で予定された計画が中断したため、次年度使用額が生じた。 補助事業期間を1年延長し、次年度以降を調整した実験計画に従い、次年度請求の助成金と合わせて中断されている実験計画の遂行(モデル動物作成と投与実験のための動物および飼育飼料、組織標本作成と評価、細胞実験のための市販試薬の購入等)に使用する。
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