2014 Fiscal Year Research-status Report
肥満対策行動と「将来の期待効用の現在価値」との関連性の解明を目的とした指標開発
Project/Area Number |
25350134
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
水元 芳 福岡女子大学, 文理学部, 准教授 (20581630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 健清 福岡女子大学, 文理学部, 教授 (20037435)
小林 房代 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 助教 (20707674)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肥満 / ミクロネシア / 体型への意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人肥満率が年々増加している調査地ポンペイ州において、人々の肥満対策行動に関連性があるのではないかと仮説をたてた「将来の期待効果の現在価値」を検討するための調査ツール(質問票)を、より現地事情に寄り添ったものにすることを目的として、肥満に対する人々の意識を把握するためのフォーカスグループ・ディスカッション(FGD)を実施した。ポンペイ州に住む18~69歳を対象として、居住地域別、性別、年代別の特徴が把握できる6つのグループを編成して行った(1:都市部男性、2:都市部女性、3:地方部男性、4:地方部女性、5:大学生男女混合、6:保健スタッフ)。得られたデータはコード化してテーマ的手法で分析を行った。居住地域による意識の差は観察されず、男女異なるグループでも共通していた意識は、「太っている方が裕福に見える」「太っている方が異性に好まれる」といった肥満に対して好意的なものであった。一方、若い年代(学生)では肥満のない適正体型に対して好意的な意見が多く発せられた。調査地ポンペイ州では「太っている」ことに社会的なメリットを感じている人が多く、肥満は生活習慣病のリスク要因の一つであると認識しながらも、保健スタッフでさえ「太っている」ことをある程度許容している様子が伺えた。若い年代においても、「スリムな体型」に価値観の重きを置きつつ、「太っていること」を否定する態度はほとんど観察されなかった。「太っていること」をよしとする伝統的な価値観と、「スリムな体型」が健康の両面で好ましいとする海外由来の新しい価値観の混在がほとんどの対象者にあると思われたが、若い人ほど後者の価値観が強い傾向にあった。全年代に共通していたのは、自身の現在の体型をそれぞれが受け入れ、体型に合わせて伝統的価値観、または新しい価値観のどちらかを用いて「この体型でよい」ことを説明できる「現状許容力」が強いことであったと考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度に実施を予定していた研究活動は、1)調査ツール(質問票)作成のためのフォーカスグループ・ディスカッション(FGD)、2)FGD分析結果に基づいた調査ツールの開発、3)調査ツールのプレテスト、および4)プレテスト(N=30)後に修正した質問票の再プレテスト(N=400)の実施であった。平成26年5月にFGDを実施し、9月にはFGD分析結果に基づき、現地関係者と共に調査票項目の検討を行った。同年12月、調査票の一部である「首尾一貫感覚(Sense of Coherence: SOC)13項目」について、質問文を調査対象地域の人々が明確に理解できる表現にするための共同研究者打ち合わせを行って修正版質問票を作成した。平成27年3月にプレテスト(N=30)を行った後、現地関係者と共に修正版質問票を精査し、本研究における暫定版調査ツールとして確定した。調査ツールの再プレテスト(N=400)実施までが平成26年度の活動計画であったが、調査票項目の度重なる修正に時間を要したため、再プレテストの実施は次年度に持ち越すこととなった。活動の進捗状況に若干の遅れが出てしまったが、持ち越された調査ツールのプレテストは次年度早い時期での実施計画を策定し、来年度実施予定の活動計画への影響が生じないよう努める。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、1)調査ツール(質問票)再プレテスト(N=400)の実施、2)プレテスト結果の分析、および3)論文作成 である。質問票の再プレテストは平成27年5月に実施予定。平成26年度に実施したFGDによる調査結果は、Asia Pacific Journal of Public Healthに投稿予定、また、平成27年7月に開催される太平洋諸島学会学術大会で発表する予定(講題採択済み)。
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Causes of Carryover |
調査票項目の度重なる修正に時間を要し、平成26年度に実施予定の再プレテストの実施が遅れ、次年度持ち越しとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
質問票再プレテストの実施経費として、主に、調査アシスタントおよび調査協力者への謝金として使用する予定。
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