2015 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスの生体影響に基づく新規機能性食品の開拓
Project/Area Number |
25350136
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
小城 勝相 放送大学, 教養学部, 教授 (10108988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市 育代 お茶の水女子大学, その他部局等, 講師 (50403316)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 動脈硬化 / セラミド / スフィンゴミエリナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣病の中でも糖尿病合併症と動脈硬化症は、酸化ストレスがその発症に直接的な役割を果たしていることが分かっている。それを予防する食品成分を見つけることが本研究の目的であった。これまで我々は、酸化ストレスが生体にどのような影響を与えるのかについて多くの動物実験により研究してきた。実験動物で引き起こした糖尿病においても動脈硬化においても血中のセラミドという脂質が増加し、リスク因子として重要であることを明らかにしてきた。セラミドは細胞死を引き起こす生理活性脂質としてよく知られている。ヒトにおいては動脈硬化が進行すると血液中でセラミドが増加することも我々が既に明らかにしている。ではセラミドと酸化ストレスにはどのような関係があるのかが重要な問題となる。 セラミドは細胞膜に豊富に存在するスフィンゴミエリンから分泌型スフィンゴミエリナーゼ(sSMase)という酵素によって生成することを明らかにしてきた。今回はsSMaseが酸化反応によって活性化され、還元反応によって不活化されること、これらの酸化還元反応による変化が可逆的であることを見出した。もし、sSMaseを還元剤によって不活化すればセラミドが生成しなくなり、上記の病気の予防ができることになる。我々は緑茶に含まれるカテキン類にsSMaseの強い阻害活性があることを明らかにした。これは通常の緑茶の摂取による血中濃度でも十分に有効な効果であり、緑茶など、食品中の還元物質には抗酸化機構以外に直接動脈硬化などを予防する能力があることを示した点で意義深い研究である。この研究は現在、J. Nutr. Sci. Vitaminol.誌に印刷中である。
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Research Products
(2 results)