2015 Fiscal Year Research-status Report
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25350137
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
横井 克彦 聖徳大学, 人間栄養学部, 教授 (10200883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
許斐 亜紀 九州女子大学, 家政学部, 講師 (40529658)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 老化 / 微量元素 / 鉄 / 亜鉛 / 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国は、少子化と全国民を対象とした手厚い医療保険により既に超高齢社会に突入し、世界一の長寿国となっている。しかし、成長期と若い世代の女性を中心に、鉄・亜鉛などの微量元素の摂取不足が蔓延している。その一方、閉経後の女性を中心に、鉄過剰を伴う老人性貧血も進行しており、鉄や亜鉛といった微量元素の過不足が老化に与える影響を検討する必要がある。 昨年度の研究でその一端が明らかとなったが、従来用いられて来たラット用飼料中鉄レベルの適正範囲は修正される必要があり、それに資する詳細なデータが求められている。そこで、今年度は種々の摂取レベルの鉄が脂質代謝に及ぼす影響を解析するとともに、対象とする飼料中鉄レベルの範囲を広げてラットを飼育し、各種血液学的指標等に及ぼす影響を検討した。その結果、飼料中鉄レベルが、従来、ラットにとっての必要量とされていた35 mg/kgではヘモグロビン濃度やヘマトクリット値が飽和量に達しておらず、むしろmarginal deficiency 限界的欠乏と呼ぶべき状態に相当した。適正範囲を確定することは困難であるが、従来の倍程度のレベルでヘモグロビンがほぼ飽和量に達した。また、ヘモグロビン濃度が半分以下に低下した重度鉄欠乏の際、老年者でよく見られる脂質異常症に類似した血漿および組織の脂質の異常が認められた。今後、数学的モデルを用いたデータ解析を行ない、飼料中鉄レベルの適正範囲を決定し、鉄や亜鉛の過不足が生体に及ぼす影響の検討を続けていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
飼料中鉄レベルを広げたラットを用いた動物実験を実施し、適正な鉄摂取レベルを推定することを可能にするデータが得られ、おおむね研究が順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、段階に亜鉛レベルならびに鉄レベルを変えた飼料で飼育したラットの血漿および組織中各種生理活性物質やタンパク、ミネラル等を分析し、亜鉛や鉄の各種欠乏段階でどのような生体影響があるのか、老化の促進と合致する変化が生ずるのかどうか明らかにしていきたい。適正範囲を求めるために適した数学モデルの探索を続け、必要に応じて動物飼育を含めた実験を追加する予定である。
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Causes of Carryover |
最小必要量をわずかに上回る程度の動物用飼料の作製で、動物用飼料を賄うことができたため、経費の一部に次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
鉄や亜鉛が及ぼす生体影響を明らかにするため、各種生理活性物質を測定する試薬などの物品費や作成した投稿原稿の英文校正などのその他の経費に充当したい。
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