2015 Fiscal Year Annual Research Report
トランス脂肪酸により誘導される炎症性反応の解析とその抑制法の開発
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25350138
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
加納 和孝 聖徳大学, 人間栄養学部, 教授 (70111507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 嘉子 聖徳大学, 人間栄養学部, 准教授 (40202395)
岩崎 有希 人間総合科学大学, 人間科学部, 助手 (60762078)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エライジン酸 / TNF-α / 食作用 / TLR-4 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
「研究の背景」近年、トランス脂肪酸摂取が心疾患のリスクを高めることが多くの疫学的研究で明らかになった。しかしながらトランス脂肪酸がこれらの疾患を引き起こす機構についての生化学的解析は殆ど行われていない。申請者はヒト乳がん由来YMB-1-E(YMB)細胞を用いて、エライジン酸を添加により、抗動脈硬化蛋白質アディポネクチンの産生低下、炎症性サイトカインTNF-αの発現上昇、Toll様受容体4(TLR-4)の活性化が起こることを見いだした。 「研究の目的」今回の研究ではトランス脂肪酸摂取に動脈硬化の発症機構を明らかにし、予防、防御に役立てることを目的とした。 「研究成果」本研究ではTNF-α蛋白質の添加によりアディポネクチンmRNA発現が抑制されたことからエライジン酸はTNF-α mRNA発現を促し、分泌されたTNF-αがアディポネクチン発現を抑制すると考えた。さらにTLR-4の特異的阻害剤、TAK242およびviral inhibitory peptide of TLR-4 (VIPER)の添加で、エライジン酸によるTNF-α mRNA発現誘導は抑制され、アディポネクチンmRNA発現抑制が解除されることから、アディポネクチンmRNA発現抑制にはTLR4情報伝達系が関与することを明らかにした。このことはTLR4ノックアウトマウスあるいはsiRNAを用いた実験でも裏付けられた。ヒト単球系白血病U937細胞を用いた実験ではPMAで刺激したU937細胞でエライジン酸処理により、dishへの接着、CD68、CD147の発現、及び食作用の促進が認められた。エライジン酸のこれらの作用はTAK-242およびVIPERで阻害された。これらの結果は動脈硬化発症にTLR4が重要な役割を果たしており、TLR4の阻害剤の開発、同定により発症の予防、防御が可能となることを示唆するものである。
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Research Products
(5 results)