2014 Fiscal Year Research-status Report
周産期の精神疾患に対する脂質栄養改善に関する基礎的研究
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25350151
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
宮澤 大介 金城学院大学, 薬学部, 准教授 (70434553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 浩之 金城学院大学, 薬学部, 助教 (90523316)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多価不飽和脂肪酸 / 周産期 / 神経栄養因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)等の神経栄養因子は神経の新生、分化、維持に必要である。実験食として5%の高LAベニバナ油(SAF, ALA-restricted, LA-adequate)或いはシソ油(PER, ALA and LA-adequate)を添加した精製飼料を用いて仔、親の脳について解析した。 出産直後のICRマウスにSAF食或いはPER食を2週間与え、仔マウスに授乳させた。 脂肪酸組成、神経栄養因子量に注目して親の食餌脂肪酸の影響を検討した。大脳皮質、海馬、線条体の脂肪酸組成を測定した。SAF群でDHAが有意に減少していた。また、アラキドン酸(AA)量が増加していた。総n-6系脂肪酸、総n-3系脂肪酸、n-6/n-3比も親の食餌の脂肪酸組成を反映したものであった。この結果から授乳期の親の食餌脂肪酸が、母乳を介して仔の脳の脂肪酸組成に影響を与えることが明らかとなった。BDNF量を定量したところ、海馬ではSAF食で減少していたが、大脳皮質では増加していた。線条体では差が見られなかった。解析した領域によって異なる結果であった。脳の領域によって食餌脂肪酸に対する反応性が異なることが示唆された。 交配後、19-21日間と出産後3週間に渡り、SAF食或いはPER食の実験食を与え、大脳皮質について解析をした。脂肪酸組成は、SAF群でPER群にAAが増加していた。総n-6系脂肪酸も食餌脂肪酸を反映していた。しかし、DHA、総n-3系脂肪酸に関しては有意差はみられなかった。 BDNFはPER(仔あり)はPER(仔なし)に比べ、有意に低下していた。SAF(仔なし)はPER(仔なし)に比べ低い傾向を示した。しかし、仔ありの場合SAF、PER間に差はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食餌群として高リノール酸ベニバナ油群、シソ油群を設定した、妊娠・出産・授乳を経た母体(仔あり)脳の脂肪酸組成、BDNF量について解析を行った。また妊娠・出産・授乳をしていない雌マウス(仔なし)についても同様の食餌群を設定し、解析をした。妊娠・出産・授乳の影響、食餌脂肪酸の影響をそれぞれ検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
大脳皮質の解析に続き、線条体、海馬の解析を進め、領域による反応性の違い等を検討する。 また、BDNFに関連するシグナル伝達や神経新生マーカーについても解析を行う。
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Causes of Carryover |
乳児期仔マウス脳のCREBリン酸化の解析を同時期に進行した。また、親マウスの脳でも神経新生に関係する因子の発現量の解析を進めている。これらにより計画通りの予算執行とならなかった。現在、脳の領域別に解析を進めている段階にある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海馬、線条体について以下の解析を進める。ガスクロマトグラフによる脂肪酸組成の測定、神経栄養因子のELISA法による定量、神経栄養因子に関連するシグナル分子の解析(ウエスタンブロット)を行う。
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