2013 Fiscal Year Research-status Report
消費段階におけるカンピロバクターの二次汚染実態とリスク評価
Project/Area Number |
25350156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
岸本 満 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 教授 (20454449)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Campylobacter / C.jejuni / C.coli / 二次汚染 / 伝播率 / リスクアセスメント |
Research Abstract |
本研究は細菌性食中毒のうち事件数ではトップのCampylobacterが調理段階でどのように伝播、生残、増殖するのか、その実態とリスク要因を明らかにし、これらの科学的データを基にリスク評価を行うものである。 平成25年度は流通小売から喫食に至る経路のCampylobacterの分布、生態を調査する計画だったが食鳥処理施設と小売店鶏肉の分布調査を行うに留まった。食鳥処理場でサンプリングした鶏肉33検体及び小売(計6店)で購入した鶏肉75検体からC.jejuni 44株、C.coliを6株分離した。分離率は食鳥処理場が高く小売の約3倍だった。このことは食鳥処理後、流通を経るとCampylobacterは1/3以下になり、当該菌の特性もあり流通過程でリスクが低下すること、さらには流通過程でさらなるリスク低下の措置がとれることを示唆した。 厚生労働省による「平成25年度食品の食中毒菌汚染実態調査」では鳥ミンチ肉の汚染率は16%、鳥たたきは13%だったが、本調査では小売店肉部汚染率が19.5%、内臓(砂肝 レバー)が41.2%だった。鶏肉製品の汚染率は関係者の努力により低下しているが、依然と内臓系の製品からは高率に分離されることが明らかとなり、厨房等での二次汚染は内臓系製品のリスクが2倍以上になることが分かった。 上記の成果は2013年食品微生物学会にて一部発表し、そして現在BiocontrolScence誌に投稿準備している論文に掲載する。平成26年度は冷蔵庫内での消長をモデル実験で明らかにするほか、リアルタイムPCR法を用いた定量法について研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学院生の修了、研究室助手の任期切れによるマンパワーの後退が大きな要因である。資質のある研究補助員を探しているがなかなか見つからない。
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Strategy for Future Research Activity |
生活者のCampylobacter暴露実態と危害要因分析を行う範囲を食品流通企業、家庭、施設内厨房、調理実習室としたが、当面、調査分析範囲を家庭のみ(対象は学生)とし、一般生活者のリスクアセスメントに絞ることによって、研究の遅れを取り戻したい。定量的なデータ(菌数データ)も必要だが、家庭のおけるCampylobacterの汚染実態を定性的に調査すことで、家庭台所における汚染率を明らかにし、リスクアセスメントデータとする方針とする。 また、リアルタイムPCR法による定量法の確立ができれば、モデル実験系を構築し「調理時の二次汚染」、「調理時加熱不足」、「調理後二次汚染」のCampylobacterの消長が明らかにきる。今年度後半には定量法を確立させたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画に遅れが生じており、PCR関連キットなど消耗品の購入を控えたため。 計画遅れの理由は前述したとおり。 リアルタイムPCR用試薬、キット、培地、培関連試薬、分子生物学関連試薬を購入する。
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Research Products
(2 results)