2013 Fiscal Year Research-status Report

食物線維溶液の摂取によって胃粘液を増やし胃潰瘍を予防できるかについての基礎的研究

Research Project

Project/Area Number	25350172
Research Category	Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
Research Institution	University of Shizuoka,Shizuoka College
Principal Investigator	高林ふみ代静岡県立大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (80167486)
Project Period (FY)	2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords	食物せんい溶液 / 胃粘膜
Research Abstract	まず、食物せんい粘性溶液摂取による胃粘膜の肥厚が、投与する食物せんいの種類と投与溶液の粘度を変えた場合どのように変化するかを検討するために、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、グアガム、アガロースについて、粘度が40mPa･sと10mPa･sの溶液を作り、0.2mL/dayで2週間経口投与した。胃の組織を薄切標本にし粘膜厚と粘液産生細胞の変化を検討しているが、いずれの食物せんい溶液の投与によっても粘膜の肥厚が観察された。詳細は現在検討中である。他方、食物せんい溶液の継続投与によっては胃粘膜の肥厚が引き起こされるが、単回投与では胃粘膜に変化がもたらされるのかを検討した。0.5%メチルセルロース溶液　0.2mL投与後の胃粘膜内のErk1/2やp38といったタンパク質（MAPK）のリン酸化や細胞分裂の指標であるMCM7量の変化を時間の経過とともに観察した。いずれにも有意な変化はみられず、食物せんい溶液を一回投与しただけでは粘膜肥厚に直接つながるような大きな影響を及ぼさないことが示された。食物せんい溶液の胃粘膜に対する作用は継続されることによって得られるものであることが示唆された。しかし、同時に測定した組織修復機能を有するヒートショックタンパク70(HSP70)はメチルセルロース溶液投与後一時的にではあるが有意な増加を示し、食物せんい溶液投与によって、胃粘膜保護作が期待できる可能性を示唆する結果であった。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 平成25年度の目標であった、食物せんいの種類とその溶液の粘度の違いによるマウス胃粘膜肥厚への影響の検討については、解析途中である。しかし、すでにすべての組織標本は出来上がっており、結果を得る見通しはたっている。粘膜標本作製と並行して平成26年度に検討する予定であった、食物せんい溶液単回投与による粘膜内MAPKのリン酸化や細胞分裂指標のMCM7の消長、HSP70の変化について検討し、結果を得た。これらを総合するとおおむね順調であるといえる。
Strategy for Future Research Activity	平成26年度に予定していた実験を平成25年度に実施したので、平成26年度にはまず25年度の実験の結果（組織標本の検討）を得るようにする。また、同じく平成25年度に実施し冷凍保存してあるサンプルを用い、食物せんい溶液投与による胃粘膜機能への影響の検討項目として、胃内容物の粘度測定を行う。