2013 Fiscal Year Research-status Report
郷土の大地の学びを児童・生徒に届ける「ジオラボ・宅配便」計画
Project/Area Number |
25350199
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
中野 英之 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (80554310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 忠幸 京都教育大学, 教育学部, 教授 (20314297)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地学教育 / モデル教材 / 大地のつくり / 流れる水のはたらき / 地層のはぎとり教材 |
Research Abstract |
火山や地層分野の先行研究で公表された地学分野のモデル教材の有効性を検討するとともに、キット化を行い、現場の教員が利用できるジオ・ラボ宅配便システムの運用を開始した。実際にこのシステムを利用した小学校における教育現場での実践も行われ、その有効性が確認されるとともに、本システムの課題も見出すことができた。 室内で屈曲部の内側と外側で流速が異なることを再現できるモデル実験教材や、土石流のモデル実験など、新しい地学分野のモデル実験教材を開発するとともに、地域の大地のつくりを理解する動画教材の開発に着手した。小学校5年の流れる水のはたらきの単元において、これらの新しく開発した教材を有効的に、実感を伴った理解を促すことができるカリキュラムの開発と検討を行い、小学校における教育実践を行った。 これまでに収集できなかった断層や褶曲、花崗岩の玉ねぎ状風化の地層のはぎとり標本を採取し、現職教員が多くの地層のはぎとり標本を利用できるようになった。前研究プロジェクトである「地層宅配便」は多くの教育現場における利用者のニーズに対応することができている。 2013年12月に、福島県伊達市において、本研究に関するワークショップ「あぶくまの大地の魅力を子どもに伝える理科の授業づくりを考えるミニワークショップ」を開催し、現職教員に本研究で扱う教材の紹介を行うとともに、現場の教員と地学教育についての議論を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地層のはぎとり標本の作成については、断層や褶曲、花崗岩の玉ねぎ状風化の標本を作成することができ、標本のストックの充実を図ることができた。地層のはぎとり標本は、現在も多くの教育現場における要望があり、概ね利用者の要望に対応することができている。 新たに作成したものを含む地層のはぎとり標本を用いた授業での活用事例を示す学習指導案を作成し、必要とする教育現場に情報を提供することができた。 地学分野のモデル実験について、堆積実験や流れる水のはたらきの単元に関する内容を中心として過去の文献の調査を開始した。また、河川における屈曲部の内側と外側で流速が異なることを再現できるモデル実験や、土石流のモデル実験など、先行研究にはないモデル教材を新たに開発するとともに、地域の大地のつくりを理解するための流れる水のはたらきを理解するための動画教材の開発に着手した。 地学教材に関するシンポジウムを開催し、教員自ら地学分野の教材を行うことのできる技術の伝授と地学教育の教材開発に関する検討会を行うことができた。 貝化石の地層のはぎとり標本の作成がまだ実現していないこと、地層のはぎとり標本の分割管理の検討が進んでいないことなど、次年度以降の課題も見られるが、モデル教材に関する開発を進めることができた点や、モデル教材を含む教材の貸し出しをなど、前倒しで研究に着手できた部分もあり、総合的に研究の進捗状況を検討すると、本研究はおおむね順調に進展しているものと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
①郷土の大地の学びを理解するための動画教材の作成においては、3次元的な理解を促す必要があることや、近づくことが困難な露頭などの撮影に対応するために、教材を空撮より撮影する必要があることが明らかになった。このため、空撮を行うことのできるラジコンヘリを導入し、本機を用いた教材開発を進める。②前年度に引き続き、安価で誰にでも使用することができ、実際の地学事象との類似性が高い新たなモデル実験教材の開発を進める。今年度は東京軽石層や熱水鉱床の生成過程を再現する教材の開発に力を入れていく。さらに、京都教育大学の学生や大学院生と「地学教材なんでも鑑定団」を組織し、当該領域における先行研究の調査や追試実験を行い、優れた実践や教材の再検討を進めていく。③開発した教材を用いた研究協力校での試用を通し、その教育効果を検証する。特に、露頭を観察することが困難な都市部や、原発事故により野外での教育活動が十分に行うことのできない福島県における小中学校での利用を視野に入れ、教育実践を進めていく。④ホームページを通して、本プロジェクトに関する情報の公開を進めていくとともに、より教育現場が利用のしやすい情報公開のあり方の検討を行う。さらに、昨年度に引き続き、現職教員を対象としたワークショップを開催し、地学教育の振興に努めるとともに、教員自らが学びの力を醸成することのできる場としていく。地層のはぎとり教材の分割管理については引き続き検討を継続していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額(26,942円)は、露頭の調査として旅費(2014年3月)で執行する予定であったものであるが、天候不良で取りやめになったために生じたものである。 中止となった調査は平成26年度に実施する予定である。予定通り露頭の調査の旅費として使用する。
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