2015 Fiscal Year Annual Research Report
実感をともなった「時間」概念育成のための教材開発ー化石化の可視化計画ー
Project/Area Number |
25350202
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山崎 博史 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70294494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉冨 健一 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (00437576)
古賀 信吉 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30240873)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 時間概念 / 化石膠組織 / 二枚貝 / ビーチロック / 続成作用 / 膠結作用 / 炭酸カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に作成した検量線を用いて,二枚貝化石の貝殻におけるアラゴナイト(Ar)からカルサイト(C)への変化状況のFTIR分析による検討を継続した。その結果,ArからCへの変化は,起こらない場合,80%以上変化している場合,さらに現生種ほどではないがArが保存されている場合の3通りに分かれた。この区分は産出時代に概ね対応するが,例外も認められた。また,昨年度の成果であるFTIR分析結果と化石の殻体構造の保存状況との相関が追認された。さらに,通常の試料はCへ80%以上変化しているが,炭酸塩ノジュールから産出する1試料で,殻体構造の一部が保存され,その部分はCへの変化が生じていないことが確認された。このことは,続成作用初期のノジュール形成過程において化石を取り囲む砕屑物が膠結作用を受けて間隙水の流入が阻害され,続成作用で生じる温度・圧力の影響が貝殻に及びにくくなった可能性を示唆する。これにより,経年変化以外のC化への要因として,間隙水の動きに影響を与える膠結作用の進行状況の違いが指摘される。以上のことから,二枚貝の化石化の過程には2つのパターンがあることが想定された。またこれに基づくと,薄片を用いた殻体構造の観察結果は化石化の過程における続成作用の影響を推測するのに有用であり,教材化へ可能性が指摘される。 また,時間概念の育成のための新たな教材開発を目的として,ビーチロックの膠結作用を取り上げ,野外調査,試料採集,薄片観察,年代測定を行った。これまでに報告のある大分県屋形島での検討により,ビーチロック中に約4,000年前の14C年代を示す貝殻片を含むことから,これまで想定されてきた年代より形成時期が古くなる可能性,あるいは形成時期の異なる膠結作用が生じている可能性があることが指摘される。また,これまで報告のない新たな場所でビーチロックブロックを確認した。
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Research Products
(10 results)