2014 Fiscal Year Research-status Report
科学教育と安全教育のコラボレーションによる乳幼児向け体験型防災保育実践研究
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25350206
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
山田 伸之 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (80334522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丁子 かおる 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (80369694)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 防災教育 / 安全教育 / 科学教育 / 地震防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は,保育園・幼稚園などに通う小さな子どもたちなど災害弱者を主対象として,「科学教育と防災教育の充実」と「安全安心な明るい未来社会の構築」への一助となることを目指すものである。特に,地震の揺れの経験の少ない地域の子どもたちに対して,強震動(地震の強い揺れ)とそれによって引き起こされる災害に対する理解を深めてもらうための擬似体験を通じた園や親子で取り組める効果的で印象に残る教具教材と教育啓蒙手段の開発検討を行う。各種園と大学の連携による教育実践活動を行い,一連の研究活動を通じて,子どもたちだけでなく保育士・教諭および保護者たちへの科学教育と防災・安全教育の拡充と地域社会への貢献を最終目標としている。 研究期間2年目の平成26年度は,これまでの防災教育・保育の実践活動等で得てきた知見や情報の集約作業を行うとともに,実践活動で活用する教材・教具の改良に伴うバージョンアップ,新規連携協力園および小学校との実践事例の蓄積などを行うことができた。それとともに,防災教育に関連する子どもたちや園での教諭・保育士および保護者等市民の実態を,アンケート調査等を通じて探ることも昨年度に引き続き行った。これらによって,設定した計画ステージを着実に進めることができた年度であった。また一方,福岡における地域の災害履歴の風化を防ぐための調査・集約も行った。こうした経緯を経て,最終年度に向けてさらなる充実度のアップが見込める年度となったと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,蓄積データの集約化と成果公表に関する活動にやや重きをおいたことから,実践園の数は多くなかったが,より効率的な研究遂行を可能にするために研究分担者を配置し,関西地域を中心にした各種園の情報を入手することが容易になった。その効果が新規の連携園との実践を可能にし,私立の園での実態を把握することができた。また,これまで実施していなかった小学校での実践機会にも恵まれ,新たなデータの蓄積も行うことができた。従って,平成26年度の進捗状況は,当初の目標に対して,達成度を「おおむね順調に進展している。」と自己評価した。特に,研究実績の概要の欄に記したように,いくつかのトピック的な成果を上げることができ,次年度の最終年度に向けての完成形ができつつあるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度も計画書に記載した事項を順次遂行することとする。これまでと同様に,多くの計画を濃縮することや別途拡大して遂行することが可能と考えられるため,必要に応じて適宜修正・変更を加えながら実行する。特に,防災に関連する保育・教育および各種活動は,各種園のみならず広く市民レベルで充実化がなされつつある地域もあることから,地域の状況や実践連携園の実態を見極めながら,研究遂行に努めることとする。 今年度は,これまでの研究活動におけるステージ1~3での内容・取り組みに関する点検とフィードバックおよび成果の取りまとめ・公表を重点的に行うだけでなく,子どもたちへの防災保育・教育の次のステップへの模索を意識した期間とする。また,災害時の学校・園,小さな子どもがいる家庭での状況・対応事例の収集と取りまとめおよび再精査によって浮かび上がった点を実践に反映させることを目指す。 さらに一方,これまでは新規の連携園の拡大を積極的に行ってきたが,数年前に実践活動を行った園からの防災保育実践のリクエストも出始めたため,そういった園への対応に重点を置く予定でもある。その中では,連携園の協力のもと,子どもたちへの防災保育(ステージ3),保育者や保護者たちへの防災教室(ステージ4)を行い,これまでの実践研究活動の総括へ向けた意見集約を行うこととする。
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Causes of Carryover |
本課題は,低予算での研究遂行と最大限の研究成果の創出を常に考慮してきており,今年度は,防災保育実践に関する経費や成果公表のための出張旅費での執行が大部分となった。特に,物品については,レンタルやリサイクルに努め,新規の購入を極力行わないようにし,また,出張旅費(特に,航空券)については比較的安価になる大幅な早期購入に努めたため,当初見込みよりも大幅に使用額が少なく済んだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本課題においては,当初より低予算での研究遂行と最大限の研究成果の創出を掲げてきている。従って,平成27年度においても,平成26年度と同様に実践活動や教材・教育方法の開発製作などに創意工夫と自助努力による低コスト化を目指す。これは,将来的に,発展途上国などの地域・国などでの実践研究活動を視野に入れているためでもある。従って,昨年度同様に,可能な限り研究成果の国際的な情報発信を意識的に行うとともに,防災教育充実化に資するコミュニティを構築するための経費に充当させることとする。また,これまでの連携学校・園との関係の再構築と重点化,教材・教具の広報の仕方や各種課題への対応策の検討なども行うこととする。なお,平成27年度においても,防災保育実践を専属で展開する研究分担者を設定し,本課題遂行の効率化を図ることとする。
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Research Products
(6 results)