2014 Fiscal Year Research-status Report
理工系出身者を対象とする医療工学・生命科学実習の発展と汎用化
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25350230
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
沼山 恵子 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (30400287)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 医療工学実習 / 生命科学実習 / 社会人再教育 / 高大連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ものづくり技術のライフ・イノベーションへの活用、医療機器関連産業の研究・開発従事者のレベルアップのため、社会人技術者や理工系学生に医学・生物学の再教育を行って医療従事者と専門的な意思疎通ができる人材を育成することを目的として、医療工学実習・生命科学実習の開発・改良を進めている。 平成26年度は、(1)食肉として流通している生体組織に外科手術の手技を施す、動物実験に該当しない手術用高度管理医療機器操作の大学院生に対する予備実習、資料作成と医療機器審査官を対象とした試行・意見聴取(2)前年度から開発に着手した蛍光顕微鏡作成実習への光学部品追加、明視野観察・多色蛍光観察が可能な光路への改良、組立手順を示す実習書の作成(3)自分の細胞からDNAを抽出しPCR・塩基配列決定により遺伝子型を判定する多型解析実習の実験時間短縮を図るプロトコール・実習書の改良(4)上記(2)(3)の高校理科教員に対する開講とアンケート調査を行った。 体験に基づく生命科学の啓蒙・普及、次世代の研究・開発人材の育成を図る教育カリキュラム作成としては、(5)遺伝暗号を学ぶためのDNAストラップ作製の実習書・事前解説用講義資料の改良(6)前年度にプロトコール・資料を作成したウズラ胚実体顕微鏡観察実習の実習書の改良(7)上記(5)(6)の教育大学生命科学コースの3年次学生を対象とする開講と教材化に対する意見聴取(8)中等教育学校5年生の理系選択者に対して、マイクロピペッター操作練習、DNAのエタノール沈澱、一塩基多型の解説、細胞の蛍光顕微鏡観察、手術室・医療機器の見学を行う秋休み・冬休み実習の実施に取り組んだ。 また、高校生を対象とするひらめき☆ときめきサイエンスに採択された「遺伝暗号を学ぶDNAストラップ作製&医療工学に触れる内視鏡手術体験@医工学研究科」を夏休みに開催し、研究成果の社会還元を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時には想定していなかった本研究費以外の医工学研究科の教育関連経費や外部資金による医工学実習室への設備投資が行われたことにより、それらを活用した医療工学実習の改良、生命科学の汎用ショートコースの開発は順調に進んでおり、大学院生・医療機器審査官・高校理科教員・教育大学学部学生・中等教育学校生徒等を対象とする実習開催と、情報収集も予想以上に進展している。ひらめき☆ときめきサイエンス採択による研究成果の社会還元も実現した。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時点よりも大幅に拡充した本研究科の医工学実習室の設備・装置等を活用して、引き続き医療工学実習・生命科学実習の開発・改良を進める。特に、H26年度後半に顕微鏡室を改修して画像解析室と改め、小動物用MRIが導入されたことから、新たにマウス・ラットを用いた画像診断実習の開発に取り組みたい。H26年度に購入した人工気象器と4色LED照明を用いて、現在研究用微生物の取り扱いを申請中の微細藻類(ボルボックス・クラミドモナス)の遊泳挙動と葉緑体の自家蛍光観察を行う予備実習を行い、顕微鏡組立実習に組み込むことも計画している。また、H27年度もひらめき☆ときめきサイエンスに採択されたため、その枠組を利用した若年層への研究成果の還元も継続する。
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Causes of Carryover |
初年度からH26年度に繰り越した未使用額から、データ解析・実習書作成・画像解析用のコンピュータ、ウズラ卵孵卵用のインキュベータ、藻類培養用の人工気象器・LED照明などを揃えることができ、物品費の執行は順調に進んだが、各種実習の準備・開催に追われて、研究代表者自身による出張を伴う情報収集活動や研究成果発表が充分にできなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は実習用消耗品等の物品費にまわして予備実習・実習の実施に活用すると共に、研究成果発表のための旅費・その他経費も当初計画に沿って使用する。
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Remarks |
平成26年6月30日付日経産業新聞9面の本学医工学研究科を紹介する記事「医・工学結ぶ人材育成/東北大大学院 革新的製品担う」に、研究代表者が指導を行う細胞遺伝子工学実習の様子とコメントが掲載された
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Research Products
(7 results)