2014 Fiscal Year Research-status Report
科学的素養の修得をめざす高校理科課題研究の内容事例とそれを支援する指導法の検討
Project/Area Number |
25350233
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
人見 久城 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (10218729)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 科学教育 / 高等学校 / 理科 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,まず,課題研究の展開に関する調査として,アメリカの科学教育における事例について文献分析を実施し,課題研究の特質を明らかにした。また,課題研究の遂行を評価するための枠組みについて分析を進めた。フェイら(2008)による「探究学習のレベル」に対する適合度の評価をもとに,評価方法について,学習指導との関係を分析した。 アメリカでは,STEM(Science, Technology, Engineering, and Mathematics)教育が隆盛し,科学と技術が相互に関連した学習が活発に進められている。科学教育スタンダード策定のためのフレームワーク(2011)や次世代科学スタンダード(2013)等,全米レベルの科学教育に関する文献等から,理科課題研究に対するSTEM教育の影響を確認した。科学技術やテクノロジーに関する学習内容の扱いが重視されるようになりつつある。この動きは,日常生活や実社会における科学や技術の役割の理解も,科学教育の目的に含めることを考慮したものと解釈される。科学的探究が「問い」から始めるのに対して,技術的側面(エンジニアリング)は「問題」から始まる。科学的探究が自然界の説明を指向するが,技術(エンジニアリング)は目の前の問題の解決に主眼が置かれ,解答も1つに収束されるかどうかが異なる。それぞれに立脚した課題研究が考えられるが,その遂行の過程の類似点や相違点は明確になっていない。課題研究の指導法として更なる検討が必要である。 以上のように,理科課題研究のねらいや指導法の検討について,STEM教育という新たな視点からの議論も必要であることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画申請通り,アメリカの科学教育における課題研究に関する先駆的事例を収集し,その特徴,指導上の課題などを分析した。また,「探究学習のレベル」に対する適合度の評価をもとに,評価方法について,学習指導との関係を分析した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,研究のまとめの年度として,科学的素養習得をねらいとした高校理科の課題研究の実践事例とそれを支援する指導方法をまとめ,それらを具体的に提案する。 学習教材と課題研究を促進するための学習指導法の関係を整理し,それらを提案する。また,科学的素養獲得を基底とした高校理科課題研究の内容と指導方法の具体例を提示する。それらを保証する学習方法としての課題研究のあり方について言及する。高等学校理科教員が広く活用できるように,課題研究の実践に関する教材事例集を作成していく。 以上の成果をもとに,研究成果報告書をまとめる。
|
Causes of Carryover |
平成27年度に,アメリカの科学教育において,課題研究を積極的に導入している先駆的な事例を実地調査し,その特徴,成果,課題を明らかにするため,旅費を支出する。また,課題研究において活用できる教材の開発を進めるため,物品費を支出する。ほかに,資料整理のための謝金,予備費を予定する。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
アメリカへの旅費(1名分)として45万円,教材開発のための物品購入費として55万円,資料整理のための謝金として10万円,予備としてその他10万円を予定する。
|