2014 Fiscal Year Research-status Report
大型科学のリスクとコミュニケーション、そしてガバナンス
Project/Area Number |
25350237
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 広美 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50401708)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大型科学 / 科学コミュニケーション / 政治決定 / 合意形成 / 認知度 / 信頼度 |
Outline of Annual Research Achievements |
大型科学のひとつの例として、国際リニアコライダー計画についての認知度調査、コミュニケーションに関する事前の調査を行った。 多くの大型科学を網羅的に見てガバナンスの問題点をあぶりだすことも検討したが、極めて巨大であり(建設費用のみで8500億円程度)社会的にもいままさに議論すべき時点にある国際リニアコライダーについて扱うのが社会的にも意義が大きいと整理し、本件についての研究を進めた。 本件については実施のためのガバナンス等の問題が現在、文部科学省を中心に精査をされている段階であるが、政治決定の前段階にあるべき国民的合意形成については進んでいない。この問題が困難なひとつの理由は、国際リニアコライダーを誘致することで地域社会の活性化を狙う動きと連動をしていることであり、広い合意形成以前に、誘致候補地の誘致活動が活発であり、政治もそれと連動した動きを採っていることである。反対にいうと、誘致候補地以外の地域では知名度は高くなく、また生活に関連することではない研究であることから国民からの関心も低い。 一方で、この計画の基礎科学としての「価値」を数字で推し量ることも難しく、合意形成の論点も計画の内容から整理がしにくい。そこで、研究では、論点を整理し、「基礎科学においてどの程度まで税金を投入することが許容されるか」というテーマをあぶりだし、その点において調査研究を行った。今後はこの調査結果を元に、さらに問題点を整理していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大型科学のひとつの例として国際リニアコライダーに論点をしぼり、テーマを整理し調査を実施した。また、このプロジェクトに関する過去の事例の整理なども同時に進んできた。今後は科学政策、政治決定の前段階、後段階のコミュニケーションのあり方について研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
文部科学省における有識者会議の報告書が夏ころ開示予定である。それらの内容も網羅しながら大型科学におけるコミュニケーションのあり方について論点を抽出する。
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Research Products
(8 results)