2015 Fiscal Year Annual Research Report
疑似科学的思考における認知バイアスの影響と批判的思考教育の研究
Project/Area Number |
25350243
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
菊池 聡 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (30262679)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 批判的思考 / 疑似科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
「疑似科学信奉」を測定する調査項目を改良し、あわせて認知的経験的自己理論(Epstein,1994)にもとづく「合理性直観性情報処理スタイル」、および「批判的思考態度」との関連を明らかにするために、高校生151名への調査を実施した。その結果、疑似科学信奉は、直観性と正の相関を示したが、先行研究で超常信奉一般を抑制するとされた合理性は、疑似科学信奉のサブタイプそれぞれと正の相関を示した。占いなどの超常信念とは関連性がなかった。これらから、高校生段階においては、科学的な外観をもつ疑似科学は、正当科学と同様に合理的な主張として受け入れられていると解釈された。これらは、前年度までの分析とあわせて、平成27年9月の日本心理学会にて報告した。また、前年調査を補足するため平成27年7月には小中高教員97名に対し、疑似科学信奉と批判的思考に関する質問紙調査を実施した。 批判的思考に関する知見を教育現場で検証する計画にもとづき、高校英語の教授法と批判的思考の適性処遇交互作用に関する実験を行った。使役動詞単元の授業において、従来の文法暗記型教授法と認知的論理構造に着目した教授法を、それぞれ別クラスで実施し、計81名の生徒の批判的思考態度との関連の分析を行った。その結果、授業前後のテストの得点の伸びは、従来型の教授法を用いたクラスで、「探究心」や「証拠の重視」が高い群の場合、抑制されることが明らかとなった。教育現場における批判的思考態度の交互作用を示した重要な結果として、平成28年3月にMalaysia International Conference on English Language Teaching.において報告した。 また、ストレス下でのヒューリスティックス方略の採用が超常信奉を促進するという仮説にもとづき、実験室内で身体的ストレス状況を設定してリーディングスパンテスト等のデータを収集したが、有意な結果は得られなかった。
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