2014 Fiscal Year Research-status Report
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25350250
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
森本 弘一 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (70243350)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カイコ / 消化酵素 / PCR / 高校生 / DNA抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度開発した「カイコ幼虫の消化液に含まれるアミラーゼとプロテアーゼ活性の半定量的簡易検出法」が高校生で実施可能であるか検証を行った。高校2年生5名を対象とし、講義と実験を行った。講義では、mRNAを基にした消化液プロテアーゼをコードするcDNAを作成する方法を解説した。実験では、カイコ幼虫から、電気ショックにより消化液を採取し、pH試験紙によりアルカリであることを確認させた。カイコ幼虫の消化液だけでなく、キノコ、花、麹菌、衣料用洗剤、胃腸薬なども用いて、各サンプルの粗酵素のアミラーゼ、プロテーゼ活性を測定させた。その結果、生徒たちは、良好な実験結果を得ることができ、コドン表の読み方も理解できた。 続けて、「手動ポリメラーゼ連鎖反応法によるカイコの雌雄判別」を開発した。カイコのW染色体(♀)を特異的に同定できる11のRAPD(増幅断片多型DNA)マーカーの中からW-Yukemuri-SとW-Bonsaiに着目し、サーマルサーキュラーを用いてPCR法による増幅条件を決定した。カイコ後部絹糸腺からDNAを分離し、鋳型とした。決定した反応条件は、92-96℃30秒間、55-60℃で30秒間、68-73℃で1分間、30サイクルである。手動PCRは、3タイプの水槽(1)ホットプレート付きスターラー(2)スターラーに置いた温度制御器つき恒温水槽(3)温度制御器と噴流ポンプ式攪拌機を備えた恒温水槽を用いた。これら水槽にサンプルを順次浮かべる操作を30回繰り返した。その結果、サーマルサーキュラーと同様な結果を得ることができた。このことから、手動PCRを用いてカイコの雌雄判別ができることが明らかとなった。手動PCRは、高校生にPCRの原理を理解させることに有効であることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度開発した「カイコ幼虫の消化液に含まれるアミラーゼとプロテアーゼ活性の半定量的簡易検出法」が高校2年生で実施可能であるか検証し、高校生が実施可能であり、理解できることから本方法は、有効であることが実証された。 カイコのW染色体(♀)を特異的に同定できる11のRAPD(増幅断片多型DNA)マーカーの中からW-Yukemuri-SとW-Bonsai、3タイプの水槽(1)ホットプレート付きスターラー(2)スターラーに置いた温度制御器つき恒温水槽(3)温度制御器と噴流ポンプ式攪拌機を備えた恒温水槽をを用いて「手動ポリメラーゼ連鎖反応法によるカイコの雌雄判別」を開発することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.「手動ポリメラーゼ連鎖反応法によるカイコの雌雄判別」が高校生にとって有効であるか試行的授業を行い、検証する。手動ポリメラーゼ連鎖反応法の原理を説明するワークシートを開発する。 2.選択した系統を用いて、メンデル遺伝の検証交配実験を行い、教材としての問題点を抽出する。また、♀成虫から性フェモロン(ボンビコール)を抽出し、誘引行動様式の解析実験をする。抽出ボンビコールとC16脂肪アルコールと比較する予定である。 3.3年間の研究のまとめを行い、さらに研究発表を続ける。
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Causes of Carryover |
3年計画の3年目のため、研究を継続する必要があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.「手動ポリメラーゼ連鎖反応法によるカイコの雌雄判別」が高校生にとって有効であるか試行的授業を行い、検証する。手動ポリメラーゼ連鎖反応法の原理を説明するワークシートを開発する。 2.選択した系統を用いて、メンデル遺伝の検証交配実験を行い、教材としての問題点を抽出する。また、♀成虫から性フェモロン(ボンビコール)を抽出し、誘引行動様式の解析実験をする。抽出ボンビコールとC16脂肪アルコールと比較する予定である。
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Research Products
(3 results)