2015 Fiscal Year Annual Research Report
調理技術を応用した生命科学リテラシーの学びの導入に有効な実験教材の開発
Project/Area Number |
25350267
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
浅賀 宏昭 明治大学, 商学部, 教授 (80231877)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タンパク質 / 酵素 / デンプン / 変性 / 食品 / 冷凍保存 / 科学リテラシー / 実験教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロテアーゼとアミラーゼを含む塩麹に、基質のタンパク質として茹でたウズラの卵、基質のデンプンとしてタピオカを混ぜて、透明なビニル袋に入れて保温すると、それぞれが消化されていく過程がビニル越しに観察できることを確認した。塩麹に含まれる米粒は予めろ過またはホモジナイズして粒を無くす工夫をすると見やすくなり、酵素の働きを学ぶ実験教材として有効と考えられた。 酵母はデンプンを利用できないが、単糖のブドウ糖、二糖の麦芽糖や砂糖などは取り込んで発酵して膨らむ。そこでパン作りの際に通常は加える砂糖を入れないブランク対照群を置いて比較してすると、焼く前の発酵による生地のふくらみが砂糖ブランク群では抑制され、また焼いた後の茶色の発色も弱い等の違いがはっきりと出た。さらに酵母を事前にすりつぶしておくと、砂糖を加えても発酵が抑制され、酵母の働きを肉眼的に確認できる実験教材となると考えられた。 肉の切り身などを高張または低張の食塩水に漬けてから凍結融解して比較すると、高張食塩水に漬けた切り身の方がドリップは少ない。ドリップは細胞の破裂を示し、これが生命体の冷凍保存が困難な理由の一つである。この点についてよりわかりやすい教材とするため、数の子を材料としたところ、卵粒の状態の違いが肉眼でも、また食べて歯ごたえでもわかることを確認し、ユニークな教材となると考えられた。 早朝と昼に収穫した野菜は、ブドウ糖含量などの違いで味が異なる。これは光合成の明期と暗期の違いによるとして説明可能だが、このような比較は現実的には実施が難しい。そこで、室内で家庭用簡易型植物工場を複数用いて、昼夜を逆にセットした対照群を置いたところ、非常に簡便に比較できた。適した野菜の品種の検討の他、糖分の測定法についてもより簡便な方法を検討した。
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