2013 Fiscal Year Research-status Report
発達に応じて進化する初・中等理科教育のための化学発光観察・実験教材の開発
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25350269
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
松本 正勝 神奈川大学, 付置研究所, その他 (10260986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 信子 神奈川大学, 理学部, 助教 (40291744)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 科学教育 / 光/化学エネルギー相互変換 / 化学発光 / 生物発光 |
Research Abstract |
本研究はジオキセタン型化学発光化合物を“視覚に訴える”に力点を置いた理科教材として開発しようとするものである。平成25年度においては、まず今までに設計・合成した200種以上に及ぶジオキセタン型化学発光化合物の中から化学発光実験用の教材となりうる発光特性を有するものを選別することを計画した。 選別は、①発光色調、②発光の効率、および③発光の持続時間の3つの特性について行った。①については発光スペクトルの最大発光波長を参考にして、真紅から紫までの発光色調を有するものに選別、②については発光が肉眼で十分に認められるかが鍵となるが、基質の濃度と温度により異なるため発光効率を基準にし、量子収率0.01以上のものを選別した。③については半減期が1秒以下(フラッシュ光)、100秒以上(グロー光)そして中間のものに選別した。 理科教材として安全に取り扱うためには発光化合物が熱に安定であることがまず第1である。本研究において選別の対象とした200種以上のジオキセタン型化学発光化合物はいずれも長期冷蔵保存は可能であるが、それらの中から室温においても長期保存(1年以上)の可能なものでかつ上記発光特性の面からの選別に耐える化合物を10種以上選び出した。 このように理科教材の候補として選別した発光化合物を用いた演示化学実験を大学内で開催された様々な講習会において①中学校および高等学校理科教員(約20名)および②高校生(約50名+20名)を対象にして実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載したように、当初の計画通り、“視覚に訴える”理科教材の開発という視点から、今までに設計・合成した200種以上に及ぶジオキセタン型化学発光化合物の中から化学発光実験用の教材となりうる発光特性を有するものを選別した。また、“安全に実験を行う”というコンセプトの基本として、熱に安定な、室温で長期保存が可能な化学発光化合物の選別もおおむね完了した。また、これらの選別を基に理科教員や高校生を対象に予備的な演示実験も実施し、理科教材としての可能性を探った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度において選別したジオキセタン型化学発光化合物を用い、まず高校の理科・化学教師による演示実験用教材の開発を行うことを計画している。一方で安全に演示実験を行うための実験マニュアルの作成と生物発光との接点を求めたストーリーの構築を開始する。 上記の計画、方策に加えて、“化学エネルギーを光エネルギーに変換する”という視点からジオキセタンに限らず過シュウ酸/蛍光色素系の化学発光も取り入れ、両者の長所を利用した理科教材の開発を目指す。そのため、化学発光材料を市販している企業において開発業務に取り組んでいる研究者1名を新たな研究分担者として加える予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
理科教材として候補となったジオキセタン型化学発光化合物の大きなスケールでの合成を行なわなかったため、試薬、溶媒、器具など新たな消耗品の購入が少なかった。また視聴覚器材の購入を行わなかった。 ジオキセタン型化学発光化合物の合成のための試薬、溶媒、器具の購入および視聴覚器材の購入に充当する。 また、教材試作および過シュウ酸/蛍光物質系の化学発光の理科教材への展開のため、新たな分担者の参加を企ている。この新規分担者の使用する材料費、打ち合わせなどのための旅費などの一部として使用する。
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Research Products
(4 results)