2015 Fiscal Year Research-status Report
発達に応じて進化する初・中等理科教育のための化学発光観察・実験教材の開発
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25350269
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
松本 正勝 神奈川大学, 付置研究所, その他 (10260986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 信子 神奈川大学, 理学部, 助教 (40291744)
佐野 裕之 神奈川大学, 付置研究所, 研究員 (50739357)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 化学発光 / 理科教材 / ジオキセタン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はジオキセタン型化学発光化合物を“視覚に訴える”に力点を置いた理科教材として開発しようとするものである。本研究の初年度において既に設計・合成し基本的な発光特性を調査しているジオキセタン型化学発光化合物の中から化学発光実験用の教材となりうる候補を①発光色調、②発光の効率、③発光持続時間、および④安全性(熱安定性)の4つの特性から10種強の化合物を選定した。平成27年度においては、これらの中からさらに絞り込まれたベンゾチアゾール置換のフェノール基を電子供与体とする双環性ジオキセタンを中心にして理科実験への適用の可能性を検討した。すなわち、これらのジオキセタン類とその前駆体を選び、児童、生徒たちの好奇心を惹きつける“光エネルギーと化学エネルギーの双方向変換”をキーワードとした演示実験を工夫した。“化学エネルギーの光エネルギーへの変換”が化学発光であるが他の化学発光では達成できないジオキセタン型発光の特質を示す例として“光るシャボン玉”を実現しその動画を作製した。加えて、ジオキセタンの前駆体を用いた光エネルギーの化学エネルギーへの変換実験(太陽光およびナトリウムランプを用いた光増感酸素化反応を行い実験の成否は発光により確認)を工夫した。 さらにジオキセタン型化学発光の演示および実習実験の手順書作成の準備を進めるとともに、旧来から知られている化学発光、すなわちルミノール、ロフィン、ルシゲニン、過シュウ酸系について、演示実験の追試と改良ならびに初級から化学を専門とする者までの参考書となるべきものの執筆を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要に記載したように、当初の計画通り、“視覚に訴える”理科教材の開発という視点で、すでに設計・合成した200種以上に及ぶジオキセタン型化学発光化合物の中から化学発光実験用の教材となりうる発光特性と安全性(熱安定性)を有するものを選別、さらなる絞り込みを行った。その結果、概要に記したジオキセタン類とその前駆体を選び、児童、生徒たちの好奇心を惹きつける“光エネルギーと化学エネルギーの双方向変換”をキーワードとした演示実験を工夫した。また、ジオキセタン化学発光以外のルミノール、ロフィン、ルシゲニン、過シュウ酸系化学発光による理科実験法の追試と改良を開始した。 ただ、一部の研究分担者が所属する外部機関の外的環境の急変により過シュウ酸系化学発光系についての計画に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度において選別したジオキセタン型化学発光化合物を用い、高校および中学の理科・化学教師、さらには小学校教員による演示実験用教材の開発と手順書の作製を行う。一方で“光エネルギーと化学エネルギーの双方向変換”および“生物発光との接点”を求めたストーリーの構築を行う。 上記の計画に加えて、“化学エネルギーの光エネルギーへの変換”という視点からジオキセタンに限らずルミノール、ロフィン、ルシゲニン、過シュウ酸/蛍光色素系の化学発光も取り入れ、それぞれの特質を利用した理科教材の開発を目指す。ジオキセタン発光以外の化学発光については既存の理科実験手順書の追試と改良、そして最新の化学発光に関する知見を集積したテキストの作製を目指す。
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Causes of Carryover |
当プロジェクトには化学発光製品を主力としている外部機関(企業)の研究者に実用可能な理科教材開発のための研究分担者として参加して頂いた。しかし当分担者の所属する企業における国外環境が急変し、分担者はその対応のため業務が極めて多忙となり当初予定していた協同研究が遂行できなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
プロジェクトの仕上げとして実験テキスト作製を主とした研究を本学内研究者(代表者と分担者、協力者)のみで推進することにした。なお上記外部機関所属の分担者には過度の負担が掛からない範囲で協力して頂く。
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Research Products
(1 results)