2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350270
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
栃窪 優二 椙山女学園大学, 文化情報学部, 教授 (60465507)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 東日本大震災 / 石巻 / 映像 / 記録 / ドキュメント |
Research Abstract |
この研究は、東日本大震災・被災地の復興に向けた映像記録・ビデオ教材を開発し、震災被災地の現状を次世代に伝え、被災地の復興支援や防災意識向上を図ろうという目的である。また科学ジャーナリズムの視点で映像記録・ビデオ教材を分析・評価する実践研究でもある。1年目の研究は、平成25年度の現状を伝える映像記録・ビデオ教材(平成25年度版)を取材・制作して、インターネットで公開するまでを実施する計画であった。 平成25年度の実施状況は、被災地の宮城・石巻市を中心に取材・撮影して、下記の映像記録を7本制作した。①被災地・石巻の復興~震災から3年目(5分46秒)、②かんばろう! 石巻~地元住民の思い(5分02秒)、③石巻川開き祭り~震災3年目の夏(5分00秒)、④震災後の金華山~こども記者が取材(6分30秒)、⑤石巻のお魚事情~2013年夏(4分35秒)、⑥3年目の冬~震災被災地・石巻(4分40秒)、⑦震災から3年~被災地 宮城・石巻~(5分23秒)。またこれまで制作した作品をまとめる形で、⑧ドキュメンタリー「地域の絆を再生へ~女川・復興農園のの願い」(17分15秒)、⑨ドキュメンタリー「絆の駅・石巻~復興3年目の春」(23分45秒)を制作した。制作した映像記録・ビデオ教材は全て、椙山女学園大学Youtubeサイトで動画公開すると共に、大学の教材や高校生向け講座等で活用して、被災地の現状を広く紹介した。ビデオ教材を活用した主な講演・外部授業は、①椙山女学園高校・土曜講座(平成25年6月)、②名古屋・SMBCパーク栄・セミナー講演(7月)、③日本人間工学会東海支部2013年研究大介・特別講演(11月)、④愛知県教育委員会・学びのフォーラム(高校生向け講演、12月)で実施、震災被災地の状況を語り継ぐと共に、映像記録・ビデオ教材に対するアンケート調査などを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画では1年間に制作する映像記録(1本=5分程度)は5本程度を予定していたが、実際には映像記録を7本制作した上で、これまでの取材内容をまとめる形で、20分前後のドキュメンタリーを2本制作して、結果的には研究計画を若干上回る形となった。また作品内容についても、当初の目的に沿った一定のクオリティは維持できたと自己評価していて、全ての作品をインターネットで動画公開することができた。また1年目の研究計画に盛り込んでいなかった「震災を語り継ぐ活動」も、高校生や一般向けに実施して、大学授業等でのビデオ教材の活用と合わせると、ある程度の防災教育は実践できた。これにより映像記録・ビデオ教材の分析・評価に向けた基礎データも収集することができた。こうしたことから今年度末現在の研究到達度は、当初の計画以上に進展していると受け止めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究2年目・平成26年度は、被災地は震災から4年目を迎える。すでに震災被災地は落ち着いた状況になっていて、これからは仮設住宅から恒久的な住宅への移転や、復興に向けた計画的な街づくりが進められる。こうしたなかで、震災4年目の震災被災地で、いま何が起きているのか、被災者は何を考え、何を求めているのか、映像記録で伝えることは大切で、その視点はさらに難しくなる。映像記録・ビデオ教材についての1年目・アンケート調査では、作品内容を高く評価している人が多かった。そうした点から考察すると、「教材ビデオの制作」を意識する前に、ジャーナリズムの視点で、いま震災被災地から何を伝える必要があるのか、という本質的な課題に向き合うことが極めて重要だと考えている。今後はジャーナリズムの視点を重視しながら、研究計画に沿って、震災4年目・震災被災地の取材・撮影と、それをもとにした平成26年度版の映像記録・ビデオ教材の制作・公開、映像コンテンツの分析・評価といった実践研究を進める計画である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年1~2月に予定していた震災被災地・石巻の取材・撮影が、取材先の都合等で次年度(4月以降)実施に予定が変更になったので、次年度使用額が生じた。 次年度使用額が生じた研究費については、予定が次年度に変更されても、当初の予定通り実施するので、そのときに今年度分研究費を使用する計画である。
|