2013 Fiscal Year Research-status Report
重度視覚障害者に拡張可能マークアップ言語の活用技法を教育する環境の構築とその普及
Project/Area Number |
25350279
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
長岡 英司 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 教授 (30227996)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 視覚障害 / XML(拡張可能マークアップ言語) / プレゼンテーション / 提示用資料 / 情報アクセス / アクセス支援技術 / 点字ディスプレイ端末 / スクリーンリーダ |
Research Abstract |
25年度は、研究初年度であることから、基本的な調査や環境の整備から始め、目指す成果全体の基盤となる技法やリソースを開発した。開発内容については、盲学校高等部の視覚障害生徒による実習で試用し、一定の妥当性を確認するとともに問題点や改善点を明らかにした。 1.資料の作成や提示にXMLを活用する技法の確立 プレゼンテーション等で用いる提示資料の作成やその資料の提示を重度視覚障害者がXMLを活用して自立的に行えるようにすることを目的に、触覚や聴覚を介する視覚障害者向けの技法の実現を目指し、以下の2要素の開発によって、その基盤的部分を確立した。(1)資料作成のためのXML活用技法の開発:レイアウトの設定や配色、画像の組み込み等を、視覚を介さずに制御する方法を、点字ディスプレイ端末やスクリーンリーダ等の支援機器や支援ソフトウェアとともにXMLを活用する一つの技法として開発した。(2)資料提示のためのXML活用技法の開発:提示中の資料に視覚を介さずにアクセスする方法の基盤を、支援技術とともにXMLや関連技術を活用する一つの技法として開発した。 2.資料の作成や提示を支援する機能の整備 重度視覚障害者が提示用資料の作成やその資料の提示を、主体的に円滑かつ確実に行えるようにすることを目的に、それを支援する有効な機能の実現を目指し、以下の2要素の開発を進めて、その一部を整備した。(1)資料作成支援機能の開発:レイアウト等の資料の概観を触覚等で確認できるようにする機能を、立体コピーシステムと点図システムの活用を基盤にして整備した。(2)資料提示支援機能の開発:「提示資料の即時的識別」、「提示中の資料の特定箇所の指し示し」、「実時間での文字や数式等の書き示し」を視覚を介さずに行えるようにする機能の実現に向けて、既開発の点字出力機能等を活用する開発を進め、関連の知見を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画した事項ごとの達成状況は以下の通りである。 1.資料の作成や提示にXMLを活用する技法の開発:(1)資料作成のためのXML活用技法の開発:「XMLの使用環境についての調査」は文献調査等で十分に行えた。「使用する支援機器や支援ソフトウェアの機能についての調査」は実機の使用等で適切に行えた。「XMLの活用サンプルの作成」は予定以上に行えた。「XMLの活用技法の体系化」は予定通り行えた。「評価と改良」は試用実験で十分に行えた。(2)資料提示のためのXML活用技法の開発:「XML等と支援技術との併用の可能性についての調査」は実機の使用等で十分に行えた。「XML等の活用モデルの作成」は予定以上に行えた。「XML等の活用技法の体系化」は予定通り行えた。「評価と改良」は試用実験で十分に行えた。 2.資料の作成や提示を支援する機能の開発:(1)資料作成支援機能の開発:「開発する機能の設計」は概ね予定通り行えた。「必要な機器やソフトウェアについての調査」は十分に行えた。「機能の試作」は概ね予定通り行えた。「評価と改良」は試用実験で十分に行えた。(2)資料提示支援機能の開発:「開発する機能の設計」は概ね予定通り行えた。「機能の試作」は未完了。「評価と改良」は十分に行えていない。 以上を総合して達成度を判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.支援機能の開発:視覚障害者によるプレゼンテーションの遂行を支援するための機能の開発を点字処理システム等の既存の支援技術を有機的に統合する方法により、効率的に進める。 2.教育方法の開発:確立した技法や整備した支援機能の活用について視覚障害者に教育するための方法の開発を、盲学校等と連携して実践的に行う。 3.教材の開発:XMLの基礎や活用を視覚障害者が確実に学習できるようにするための教材の開発を、上記2.と連動して行う。 4.成果の普及:開発成果を教育現場等に普及するために、紹介用の映像資料等を制作する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.謝金:本研究では、サンプルコードの開発や、資料作成、調査等の一部を当該分野に精通した人材に委ねているが、25年度は、その実務を担う者の確保が当初計画よりも遅れたことから、謝金の支出が予算額に達しなかった。 2.旅費:本研究では、試用実験や調査を盲学校等で行うが、25年度は、①十分に有効な協力をいただける盲学校を東京都内に確保できたために遠方への出張の回数が減ったことと、②同校との間で必要な情報交換をインターネットを介して行う体制が確立できたために打ち合わせで出向く回数が減ったことから、旅費の支出が予算額に達しなかった。 25年度の未使用分\311,142は、26年度の「物品費」と「謝金等」への積み増し、及び「その他」として使用する。また、26年度の「旅費」は、当初の計画よりも減額する。 26年度申請分(\700,000)と前年度未使用分を合算した予算の費目別内訳は次の通りとする(括弧内は当初の計画からの増減額)。「物品費」\250,000(+140,000)、「旅費」\200,000(-\30,000)、「謝金等」\500,000(+\140,000)、「その他」\61,142(+\61,142)。
|