2014 Fiscal Year Research-status Report
オブジェクト図自動生成とシナリオ反映度検査機能を有したモデリング学習支援システム
Project/Area Number |
25350282
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
酒井 三四郎 静岡大学, 情報学研究科, 教授 (70170553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 剛 静岡大学, 情報学研究科, 教授 (40213730)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オブジェクト指向モデリング / オブジェクト図 / クラス図 / 一貫性 / 明瞭性 / 学習支援 / UML |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 一貫性・明瞭性診断による静的UMLモデリング学習支援システムの評価を行い論文誌に発表した。 発表論文の概要: 本研究では、学習支援を目的として、UML静的モデル(クラス図とオブジェクト図)の多重度を診断するシステムを開発した。本システムの特徴は、クラス図-オブジェクト図間の矛盾の指摘(一貫性の診断)だけではなく、曖昧である箇所の指摘(明瞭性の診断)を行うことにある。一貫性と明瞭性の2軸によってモデルを評価することで、初学者がモデルを曖昧にして矛盾を解消しようとするのを防ぐ。UMLの入門教育を受講中の社会人22名を対象として、本システムの利用の有無による比較対照実験を行った。被験者には、継承、再帰関連、多重関連を含む8関連、9クラスから構成される程度のモデルと、そのモデルの「読み」および「書き」能力を測定する問題が与えられた。その結果、「読み」「書き」ともに実験群は統制群より好成績を示した。実験群の解答過程を分析し、好成績の要因が提案する 2 軸の診断モデルが有効に機能した結果であることを示した。 2. シナリオに対応するインスタンス図作成支援機能の検討を行い、実装を進めた。 一般に複数のユースケースがあり、一つのユースケースに複数のシナリオが存在する。そして、一つのシナリオに対して、一つのインスタンス図を作成するが、それはシナリオの進行に伴って変化するので、いくつかのスナップショットを作成する必要がある。既存のUML図エディタは図一つ一つを作成する機能は有するが、このような一群のインスタンス図を効率よく作成する機能はない。一群のインスタンス図には共通する部分が多いことを手がかりに効率化の手法を採用したインスタンス図作成支援機能を設計・実装した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では以下の機能を有したモデリング学習支援システムを開発する計画である。主として平成25年度には(2)(3)の機能を実現し、平成26年度にはその成果を発表できた。さらに(1)の機能を設計し、実装を進めた。平成27年度には(4)の機能を完成させるとともに、実際の授業で総合的に展開して評価を行い、研究成果をまとめることができそうである。 (1)シナリオに対応するオブジェクト図作成支援機能 (2)クラス図からオブジェクト図の自動生成機能 (3)クラス図とオブジェクト図間の矛盾検査機能 (4)シナリオのオブジェクト図への反映度検査機能
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Strategy for Future Research Activity |
総合評価とそれに基づく改良 各機能の実装が終わり次第、個別の評価実験を実施する。被験者にユースケース記述とシナリオを与え、クラス図やオブジェクト図を書かせる演習を、本研究で開発した機能を使う場合と使わない場合に分けて、エディタの操作履歴をログとして収集するほか、ビデオカメラで記録する。 これらから学習活動の違いを分析すること、最終的に作成されたクラス図等の評価、質問紙調査等によって評価する。 研究の最終年度となるので、実際の授業(演習)で使用できるレベルの実用システムを開発し、総合評価を行い、その結果に基づいて改良を実施する。
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