2013 Fiscal Year Research-status Report
大学におけるコースポートフォリオ評価のためのルーブリック開発
Project/Area Number |
25350284
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 博之 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 准教授 (30283906)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | コースポートフォリオ / ルーブリック / 授業改善 / カリキュラム改善 |
Research Abstract |
コースポートフォリオ評価のためのルーブリックの開発に向け、ネブラスカ大学リンカーン校における先行実践を参考に、「コースの基本情報」「学習目標」「教授法・教材・学習活動」「実際の授業」「学生の学び」「コースに対する振り返り」「同僚のコメント」から構成されるコースポートフォリオのテンプレートを作成した。ルーブリックはテンプレートに記載されたプロンプトを元に作成することになる。 当該年度は、2つの高等教育機関においてコースポートフォリオの実践を行った。まず、某大学理学療法学科におけるカリキュラム改善を目的としてコースポートフォリオ実践プログラムを実施した。対象は、学科に所属する全教員で、実践に先立ち、カリキュラム改善向けに必要な要素を抽出した改訂版テンプレートを開発した。前期修了後、作成したコースポートフォリオを利用し、科目間での内容の整合性や順次性を検討するワークショップを開催し、後期の実践プログラムへのフィードバックを行った。また、別の某短期大学に所属する教員グループにおいてコースポートフォリオを作成し、前期の実践を踏まえて後期の対象科目向けにテンプレートを改訂した。 これらの実践から、科目の内容を可視化することで、コースポートフォリオが授業改善やカリキュラム改善に関する教員間の議論を活性化するツールとなる可能性が示唆された。また、学科等の組織や教員グループでコースポートフォリオの実践を行う際、活動の目的を共有したりメンバーの作成負担を軽減するために、当事者と調整の上で取り組みの目的に合わせてテンプレートを改訂することの重要性が明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ルーブリックは、コースポートフォリオのテンプレートと実践プログラムから得られた各科目の記述内容を基礎として開発を進めるが、当該年度の実践においては、ルーブリックの基準や記述語を用いた科目間のピアレビューを行うには至らなかった。この理由として、取り組みの目的に合わせてテンプレートを簡素化する方向での改訂を行ったため、すべての構成要素に対する記述を得ることができず、想定していたコースポートフォリオの記述から得られる情報が不足したために評価項目が限定的になったことが考えられる。 また、コースポートフォリオの取り組みの先行組織を訪問し、ポートフォリオのピアレビューや実践に対する評価について調査をおこなう計画であったが、年度内に当該組織への訪問することが叶わず、代わりにOpen Education Conferenceへ参加することにより、教育改善に向けた授業実践の可視化・共有化の効果的教育利用に関して情報収集をおこなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き高等教育機関において組織的なコースポートフォリオの実践プログラムを遂行する。組織的な取り組みにおいてはコースポートフォリオのテンプレートを簡素化することに利点があることから、現状においてはルーブリックを用いた十分な相互評価が困難である。このことから、今後は個人教員が作成したコースポートフォリオも対象に含めて研究を推進する。具体的には、前年度までの実践プログラムの成果を元にルーブリックを作成し、実際にルーブリックを用いたコースポートフォリオの相互評価を複数の大学教員を対象として実施する。実施後、各教員に対して半構造化インタビューをおこない、授業改善が促されたかを確認し、作成したルーブリックを精緻化する。また、この成果やノウハウを、ウェブを通じて公開する。 また、大学教員がルーブリックをウェブ上で自由に公開・共有・再利用可能なウェブツールを開発する。このツールはコース管理システムのSakai上で稼働する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費としての使用を想定していたが端数が生じたため。 次年度の消耗品費として使用する。
|
Research Products
(4 results)