2014 Fiscal Year Research-status Report
大学におけるコースポートフォリオ評価のためのルーブリック開発
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25350284
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 博之 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 准教授 (30283906)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コースポートフォリオ / ルーブリック / 授業改善 / カリキュラム改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に開発した「コースの基本情報」「学習目標」「教授法・教材・学習活動」「実際の授業」「学生の学び」「コースに対する振り返り」「同僚のコメント」から構成されるコースポートフォリオのテンプレートを利用し、引き続き、某大学理学療法学科におけるカリキュラム改善を目的としたコースポートフォリオ実践プログラムを実施した。このプログラムの中で、学科に所属する全教員を対象とし、科目間での内容の整合性や順次性を検討するワークショップを開催した。前年度に学科に所属する全教員を対象に実施したアンケート調査を分析し、「自身の授業に対する新たな気づき」が「ある」が76.9%、「カリキュラムという視点からの新たな気づき」が「ある」が61.5%と、実際にコースポートフォリオの作成や相互評価を通じて、授業改善やカリキュラム改善が促されていることが示唆された。 前年度の課題として、組織的な取り組みにおいてはコースポートフォリオのテンプレートを簡素化することに利点があることから、ルーブリックを用いた十分な相互評価が困難であったことから、別途、個人教員10名がコースポートフォリオの作成を行った。この作成過程において、対面およびオンライン掲示板上で、コースポートフォリオの相互評価を実施した。 コース管理システムのSakai上で稼働する、コースポートフォリオのテンプレート投稿機能のプロトタイプを開発した。ルーブリックの投稿システムの開発を予定していたが、テンプレート上の記載項目がルーブリックの代替となることから、当初の計画から変更した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度と同様に、組織的取り組みにおいては、目的に応じてテンプレートを簡素化した改訂を行ったため、コースポートフォリオの作成は実施したものの、ルーブリックの基準や記述語を用いた科目間のピアレビューを行うには至らなかった。また、今年度は、個人教員を対象にコースポートフォリオの作成を行い、対面およびオンライン掲示板上で相互評価を実施したが、コースポートフォリオの完成が年度末であったため、授業改善が促されたかを確認するためのデータ分析や半構造化インタビューの実施には至らなかった。この分析を最終年度に実施し、プロトタイプの精緻化に反映させる。 コースポートフォリオのテンプレート投稿機能のプロトタイプを開発した。この機能は、利用者が、(1) 開発したテンプレートのダウンロード、(2) 改訂版テンプレートの作成、(3) 改訂した分野別テンプレートの投稿、公開、(4) 改訂プロセスで生じたノウハウについての情報提供、することを可能にした上で、最終年度にコース管理システムのSakai上に実装する。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、開発したコースポートフォリオのテンプレートを利用し、コースポートフォリオ実践プログラムへ参加した大学教員間で相互評価を行う。今後、組織的なカリキュラム改善を対象にした研究のフィールドが確保できなくなったため、個人教員を対象にすることとし、可能な限り複数の教員から構成されるコミュニティなどへの適用を試みる。これにより、シラバスや授業デザインの変更の有無など、授業改善が促されたかを 半構造化インタビューにより確認する。この結果をテンプレートに反映させるとともに、ルーブリックとして公開する。具体的には、これまでの実践プログラムの成果を元に改定したテンプレートを用いてルーブリックを作成し、実際にルーブリックを用いたコースポートフォリオの相互評価を複数の大学教員を対象として実施する。また、これらの成果やノウハウを、ウェブを通じて公開する。 さらに、前年度開発したテンプレート投稿・共有に関する投稿機能のプロトタイプを、研究期間において得られた知見やノウハウを基に改訂の上、コース管理システムのSakaiに実装する。
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Causes of Carryover |
コースポートフォリオ利用者に対するインタビュー調査、およびルーブリック作成・公開・再利用ツールの開発が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
インタビュー調査およびツールの開発と実装は次年度に実施する。
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Research Products
(4 results)