2013 Fiscal Year Research-status Report
問題解決を基本原理に遡って振り返る学習支援に関する研究
Project/Area Number |
25350287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹内 章 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (00117152)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学習支援システム / 探求的学習 |
Research Abstract |
本研究は、学習者が行った問題解決過程を対象領域の基本的概念、規則に照らし合わせて振り返らせることで、対象について深く考える態度を養うことを目的としている。本研究では、物理実験装置を与えて、実験目的を設定し解析方法を作成させる実験設計課題を扱う。本年度は、学習者が実験を設計する際に関係する情報を整理し、解析方法を記録していく電子ノートを設計し、電子ノートに記録された解析方法を診断する機能を作成した。 演習課題として学生が実験を設計する場合、実験目的を最初に決めることはあまり多くなく、実験系を設定し、系の振る舞いをイメージしながら何ができるかを考えることが多い。そこで、系の振る舞いを時系列で記録し、その上に関係する物理量とそれらの間に成立する物理則を記入し、実験目的と解析方法を作成していくことのできる電子ノートを用意することにした。 電子ノートに学習者が作成した実験計画を診断する目的は、見落としや不適切な部分、さらに誤ってはいないが考察すべき問題がある部分を検出し、対象について深く考えるきっかけとなるフィードバックを与えることである。したがって、解析方法の正しさを確認するだけでなく、その背後にある物理現象・法則との関係を診断機能で同定する必要がある。このために、因果ネットワークと呼ぶ力の発生原因を表現した物理系のモデル、実験系の定性的振る舞い、物理量間の公式を用いて、学習者の入力を診断する機能を実現した。因果ネットワークと定性的振る舞いは学習者が設定した実験系に依存する情報であり、本来は学習支援システムで生成しなければならないが、今回は手作業で用意して、診断機能により学習者へのフィードバックに必要な情報が得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が実現を目指している学習支援システムは、大きく分けると、学習者の入力を診断する機能、学習者が設定した実験系に応じて診断に必要となる因果ネットワークと定性的振る舞いを生成する機能、診断結果を利用して学習者との質問応答を行う機能、学習者が実験の設計作業を行う電子ノートの4つのモジュールで構成する予定である。今年度当初予定では、データの処理順番に従って因果ネットワークと定性的振る舞いを生成する機能を実現する予定であったが、この機能で作成する予定のデータの適切性を確認するために、診断機能を中心に実現した。当初予定した部分には若干の遅れが生じているが、別の主要な機能の一つを実現することができ、全体的進展割合から判断すれば、ほぼ予定通り進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に実現予定であった機能の完成が遅れているので、検討を進め実装する予定である。プログラムの作成に労力を要する部分があるので、大学院生の協力を得ながら進めることを計画している。 学習支援システムに必要な機能の詳細を検討するにあたって、実際に演習で学生が行っている活動の情報を収集して検討し、精度を高めることを考えたい。
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