2014 Fiscal Year Research-status Report
批判的思考態度を育むレポートライティング教育の実践的開発
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25350290
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
池田 史子 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (10275430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畔津 忠博 山口県立大学, 情報化推進室, 准教授 (70285451)
川島 啓二 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 部長 (50224770)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 批判的思考 / 論証型レポート / アカデミックライティング / アクティブ・ラーニング / 知識構成型ジグソー法 / ピアレビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も前年度に引き続いて、「批判的思考」と論証型レポートの構造の類似性に注目し、「日本語表現学」の授業において、批判的思考態度を育むためのグループ活動を多用した授業実践を行った。今年度は、グループ討論として、新たに「知識構成型のジグソー法」等のアクティブ・ラーニングの方法を採り入れたり、賛否の分かちがたいテーマ、意見の定まらない複雑なテーマを増やしたりした。 実践結果については、学習者の批判的思考態度のうち「論理的思考への自覚」に有意な伸びが見られたことを示し、そのためにはメタ認知をともなった社会的活動が批判的思考の社会的側面と内省的側面の両方に影響を与えている可能性があることを、学習者に対するインタビュー調査から明らかにした。 また、学士課程教育を通して学生の批判的思考を育成する際に課題となる、批判的思考の概念、能力の内容、育成方法についての主要な先行研究を整理し、大学教育におけるコンピテンシーとしての批判的思考の育成課題の検討を行うなかで、本授業を実践事例として紹介した。初年次教育学会ワークショップ(2014)においても、初年次教育の動向、学士課程における思考力育成の必要性、批判的思考の概念、授業方法の分類についてのミニ・レクチャーを行ったうえで、参加者にグループ活動を中心に構成した論証型レポート作成のワークを体験していただくことで、本研究課題の成果を広く関係者に公開することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
批判的思考を育むためのライティング授業は、質問紙による効果測定とインタビュー調査によって、受講者の批判的思考態度に向上が見られることを明らかにできた。その実践結果は、論文によって公表し、WSでも広くその手法を公開することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらに有効なグループ討論やピアレビューの方法の開発、研究課題の達成に効果的なライティング教材の検討を行う。また、学生レポートの分析を行ったり、ルーブリックの開発を行うことにしている。さらに、研究成果を広く公開するために、今年度も学会等でWSを行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画と比較して最も大きい次年度使用額は、旅費であり、参加予定の学会に学内業務との兼ね合いで出席できなかったことが大きい。また、物品費については、学生レポートの分析を最終年度に回したため、導入が遅れている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費については、本研究課題の成果をさらにひろく公開するための活動(学会WSや口頭発表)、また、教材研究のための情報収集のために使用することにしている。物品については、学生レポートの分析のために適切なハード・ソフト両面の充実のために早急に使用し、さらなる成果につなげたい。
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Research Products
(3 results)