2014 Fiscal Year Research-status Report
理解状態とモチベーションの解析で学習者支援開始時期を導出する教授学習支援システム
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25350306
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Research Institution | Osaka University of Arts |
Principal Investigator |
武村 泰宏 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (90280065)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教育工学 / 教授学習支援システム / ソフトウェア工学教育 / 学習者支援開始時期 / ARCSモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,[T1]理解状態とモチベーションの関連を解析する統計的関連分析手法,[T2]理解状態とモチベーションの関連を表す関連モデル構築手法,[T3]e-Learning における学習者支援の開始時期導出機構,の研究開発を推進する。本年度は,この研究開発(3ヶ年計画)の2年目に当たるもので,初年度のT1:統計的関連分析手法の成果を基に,T2:関連モデル構築手法に関する研究開発を行った。研究実績は以下のとおりである。 (1) 昨年度の統計的関連分析手法による解析結果,先行研究の学習環境要因尺度,関連分析モデル,および支援候補学習者のカテゴリーより,モデル構成要素を導出し,理解状態とモチベーションの関連を表すモチベーション関連モデルを構築した。 (2) 先行研究で導出した支援候補学習者における偽陽性データを減少させるため,統計的関連分析手法にヒューリスティックなメトリクスとして,学習者Aのn回目授業における平均Anおよび,n回目授業における平均値nを取入れ,学習者支援のための開始時期導出アルゴリズムを提案した。 (3) 本導出アルゴリズムを,先行研究の9回の授業における学習者9名,延べ81個の学習者データに適用した。先行研究においては,導出した11個の支援候補学習者の中に6個の偽陽性データが存在し,偽陽性率が55%であった。本導出アルゴリズムでは,9個の支援候補学習者の中から4個の偽陽性データが確認されたが,偽陽性データを2個減少できて支援学習者の導出率が10%向上した。 (4) さらに,昨年度と同様に本学および国内の研究協力者の大学および,小学校におけるプログラミング教育を加えた評価実験によって本導出アルゴリズムの改善要素を調査した。成果については国内外の学会において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,理解状態とモチベーションの関連を表すモチベーション関連モデルの構築および,学習者支援のための開始時期導出アルゴリズムの提案に加え,プログラミング教育におけるモチベーション測定を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
提案した開始時期導出アルゴリズムによって支援学習者の導出率を10%向上できたので,さらに真の支援学習者の導出率向上のための改善要素を調査し,本提案手法の汎用性を検証する。そして,本提案手法を用いた開始時期導出機構のモチベーション関連機構用サーバーへの実装を計画している。また本研究の特色の一つが,進行中のプログラミング教育における学習者への支援である。本提案手法は,プログラミング教育の学習者数がある程度の人数であれば,支援候補学習者への教授者の支援が可能であり,実際の教育現場での実用性が高いことから,本提案手法によって導出された支援候補学習者に適応したプログラミング教育支援教材の開発も検討している。
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Causes of Carryover |
統計的関連分析手法による解析結果,学習環境要因尺度,関連分析モデル,および支援候補学習者のカテゴリーより,モチベーション関連モデルを構築し,9ヵ月をかけて学習者支援のための開始時期導出アルゴリズムを提案した。これら関連モデル,導出アルゴリズムは,評価実験によって評価・改善するよう進めていたが,今年度から本学および国内の研究協力者の大学に加え,小学校におけるプログラミング教育を研究対象に含めたことで,小学生と大学生に対応できる評価実験用パーソナルコンピュータが必要になった。そのため適切適量なハードウェア構成,スペック,OSバージョン,操作性等の調査に時間を要し,さらに研究協力者の情報環境の更新も影響し,評価実験用パーソナルコンピュータの年度内の完了が困難となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に計画している,①モチベーション関連モデルの実装,②学習者支援のための開始時期導出機構の構築が進行した時点において,評価実験用パーソナルコンピュータの市況調査を行い,小学生と大学生に対応できる機種選定によって本機器を購入する。なお機種選定においては,コストパフォーマンス,小学生へのユーザビリティー,プログラミング教育環境に十分に配慮する。
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Research Products
(6 results)