2013 Fiscal Year Research-status Report
地域企業活性化と工業技術教育力の向上に向けた工業高校と高専の連携
Project/Area Number |
25350314
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
堀 桂太郎 明石工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80342525)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 技術教育 / 工業教育 / 教材開発 / ファカルティ・ディベロップメント / 工業高校と高専の連携 |
Research Abstract |
初年度である平成25年度に計画していた,工業高校などで行われている技術教育法やカリキュラム,特色ある取り組みに関する調査などについて,主として以下のように実施した.①兵庫県立高校(西宮今津高校4/19,龍野北高校5/21,尼崎工業高校7/25)を訪問し,見学及び,校長・教頭・教員と連携についての意見交換を行った.②工業高校の教員らによって開催された全国情報技術教育研究会 第42回全国大会(8/1~8/2札幌)などに参加し,教育方法や教材開発などの情報を収集した.③明石工業高等専門学校と兵庫県立兵庫工業高校の教員団が相互に学校を訪問することを計画,実施(11/11,11/25)して,授業見学及び,意見交換などを行った.④兵庫県立尼崎工業高校において,高専と高校教員による共同授業(リアルタイムOSに関する講義と実習2/9)を工業高校生に対して行った.⑤兵庫県立尼崎工業高校などの教員と,教材開発に関する共同研究について意見交換(8/21,10/18など)を行った.⑥全国20校ほどの工業高校教員に対して,本研究による連携について広報する活動を行った. 以上の取り組みにより,これまでほとんど交流のなかった工業高校と高専が,互いの概要を理解し,これからの連携について考えていく機会をつくることができた.また,本研究の大きな目的である技術教材の共同開発について,工業高校教員らと打ち合わせを行った結果,組込み技術,ソーラ発電,ディジタル教科書などに関するキーワードで共同開発を行っていくのが有望であることがわかった.このように,ニーズの大きい教材を具体的に特定することができ,次年度の共同教材開発実施に向けた足かがりを得ることができた.さらに,広報活動の結果,いくつかの工業高校から問い合わせや連携の希望を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が到達目標としている4項目の達成度について,それぞれの観点から以下のように自己評価する.1.技術教育教材開発などの連携:工業高校教員が主体となって実施される研究会などへの参加や,いくつかの工業高校の教員らとの打ち合わせ,工業高校と高専の教員の共同授業の実施などにより,開発する技術教材についての具体的なテーマを見いだしたことは評価できる.また,組込み技術とソーラ発電に関する共同研究をスタートさせたことも評価できる.2.教員の連携:これまでほとんど交流のなかった工業高校と高専について,明石工業高等専門学校と兵庫県立兵庫工業高校の教員団が相互に学校を訪問し,授業見学及び,意見交換などを行うことを実現したことは評価できる.また,兵庫県立尼崎工業高校において,高専と高校教員による共同授業(リアルタイムOSに関する講義と実習)を工業高校生に対して行ったことも,教員の連携に関する成果として評価できる.3.生徒・学生の連携:この目標については,工業高校の課題研究発表会への高専学生の参加や,工業高校生が高専で課題研究を行うことなどを検討したが,現時点では具体的な立案ができないために今後の課題となる.4.地域企業との連携:この目標については,現時点では十分な取り組みが行われていないため,今後の課題となる. 以上のように,現時点では十分ではない取り組み項目もあるが,工業高校と高専の連携についてのいくつかの有益な取り組みを実現できたために,次年度への足がかりを得ることができた.このため,本研究における初年度の総合的な達成度としては,概ね順調に進展していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究が到達目標としている4項目の達成度について,それぞれの観点から以下のように今後の推進を図る.1.技術教育教材開発などの連携:共同研究をスタートさせることができた組込み技術及び,ソーラ発電の教材開発については,実用的な実験装置として完成させるべく研究を推進していく.また,ディジタル教科書に関する教材開発については,先行研究などの調査を継続し,工業高校との共同研究の可能性を模索していく.さらに,引き続き工業高校教員の関係する研究会などへ積極的に参加して,教材開発についての情報を収集する.2.教員の連携:共同開発する教材などを用いた高専と高校教員による共同授業などの実施を通じて,教員同士の連携を深め,教育方法や専門知識・技能など互いのスキルを学べる行事を計画・実施していく.また,これまで工業高校から寄せられた連携に関する問い合わせについて,具体化できるように検討を進める.3.生徒・学生の連携:工業高校の課題研究発表会への高専学生の参加や,工業高校生が高専で課題研究を行うことなどを検討し,実施に向けた取り組みを行う.4.地域企業との連携:地域企業が求めている人材像について調査し,工業高校や高専が考えている育成すべき人材像との比較を行いながら,学校における育成すべき人材像を点検する.また,この結果を学校でのカリキュラム改善や教材開発に反映させる. 以上の取り組みによって得られた成果をまとめ,学会などで発表する準備を進めていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に計画していた教育工学系学会への参加を中止したことなどから,参加費や旅費などの出費がなくなり,残高が生じた. 教育工学系学会への参加費や旅費,または教材開発に関わる機材の購入に充当する.
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