2014 Fiscal Year Research-status Report
地域企業活性化と工業技術教育力の向上に向けた工業高校と高専の連携
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25350314
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
堀 桂太郎 明石工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80342525)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 技術教育 / 工業教育 / 教材開発 / ファカルティ・デベロップメント / 工業高校と高専の連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究2年目となる平成26年度に計画していた「工業技術教育力向上のための教授法と教材の開発」,「教員,生徒・学生,地域企業との連携」などについて,主として以下のように実施した.①リアルタイムOS実験装置を開発し,工業高校生と高専生の合同によるリアルタイムOS講習会を実施した(8/21)②ソーラ発電実験装置を開発し,工業高校生を対象とした講習会を実施した(2/22)③工業高校教員講師による高専教員及び学生に対する電気工事士技能試験講習会を実施した(6/22,7/20)④高専教員講師による工業高校教員に対する技術講演会(組み込み技術の基礎と指導法,Androidアプリケーション開発の基礎)及び高専見学,情報交換会を実施した(7/8)⑤日本工業技術教育学会が主催する第24回工業教育全国大会において,「工業技術教育力向上のための工業高校と高専の連携」及び「リアルタイムOSで制御する電気自動車実験装置の開発」と題して,本研究によって得られた成果を発表した(7/13) 上記①,②のように,昨年度計画したリアルタイムOS実験装置及び,ソーラ発電実験装置の開発を工業高校と高専の教員が共同で行い,これら実験装置の評価を行う講習会を実施することができた.特に上記①では,双方の生徒・学生が互いに協力して取り組む講習会を実施することで交流を深めることができた.講習会後には,工業高校生による課題研究発表会の概要報告プレゼンテーションを行い,互いに刺激を受けるよい機会となった.また,上記③では工業高校教員が得意とする技能講習,上記④では高専教員が得意とする技術講演を相互に実施し,その後に有益な情報交換会を行うことができた.さらに上記⑤にように,成果を技術教育系学会で発表し広報することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が達成目標としている4項目の達成度について,それぞれの観点から以下のように自己評価する.1.技術教育教材開発などの連携:リアルタイムOS実験装置及び,ソーラ発電実験装置の開発を工業高校と高専の教員が共同で行ったことは,本研究の主要な目標を実現したこととなり高く評価できる.これは,工業高校教員の授業実践力と高専教員の高度な専門知識を組み合わせた連携の成果だと考えられる.2.教員の連携:工業高校と高専の教員が共同で教材開発を行ったことに加え,工業高校教員講師による高専教員及び学生に対する電気工事士技能試験講習会,高専教員講師による工業高校教員に対する技術講演会(組み込み技術の基礎と指導法,Androidアプリケーション開発の基礎)及び高専見学,情報交換会を実現したことは,教員の連携を進めた具体的事例として評価できる.3.生徒・学生の連携:開発したリアルタイムOS実験装置の評価を行う講習会において,双方の生徒・学生が互いに協力して取り組む内容を盛り込んだことで互いの交流を深めることができた.さらに,講習会後に,工業高校生による課題研究発表会の概要報告プレゼンテーションを行ったことは,生徒・学生が連携した事例として評価できる.4.地域企業との連携:この目標については,十分な取り組みができておらず,今後の課題となっている. 上述のように,一部で取り組みが十分でない課題が残っているものの,工業高校と高専の教員が共同で教材開発を行い,互いの得意とする分野での技能講習会や技術講演会に加えて情報交換会を実施したことや,生徒・学生が協力して取り組む講習会を実現できたことなどにより,本研究の総合的な達成度としては,おおむね順調に進展していると評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本研究の達成目標としている4項目の達成度について,それぞれの観点から以下のように推進していく予定である.1.技術教育教材開発などの連携:これまでに共同開発した,リアルタイムOS実験装置及び,ソーラ発電実験装置の改良と評価について検討し,さらに共同開発できそうな教材について協議する.2.教員の連携:工業高校教員講師による高専教員及び学生に対する電気工事士技能試験講習会を実施したことを踏まえ,高専でも指導を希望する学生の多い電気工事士技能講習を高専独自に継続実施できないか検討する.3.生徒・学生の連携:本年度の成果をもとにして,双方の生徒・学生がさらに連携できる機会がないか検討する.4.地域企業との連携:地域企業がどのような学生を求めているのかを把握するなどして連携の糸口を見いだす取り組みを行う. また,次年度は本研究計画の最終年度となるため,以下の観点からの評価を実施する予定である.開発した教授法や教材は,技術教育力を向上させるために有効か,双方の教員が自己の短所と他者の長所を認識し,資質向上等に役立てることができたか,生徒・学生が学習意欲や目的意識等を向上させることができたか,相互受講によって生徒・学生,教員が新たな視点を持つことができたか,工業高校から工業高専への編入制度に改善の余地はないか,地域企業が求めている人材像と工業高校・高専教育の実態との乖離はないか さらに,本研究成果を広報するため,日本工業技術教育学会が主催する第25回工業教育全国大会などでの発表や査読付き論文の投稿などを行う予定である.
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Causes of Carryover |
教材開発費や謝金・人件費として必要であると見込んでいた費用が予想よりも安く済んだことなどから残高が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
開発した教材の改良や成果の広報活動などにかかる経費として充当する.
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Research Products
(2 results)