2013 Fiscal Year Research-status Report
教職キャリア志向向上と目指す教員像構築のための教職eポートフォリオの活用
Project/Area Number |
25350325
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
谷塚 光典 信州大学, 教育学部, 准教授 (30323231)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教師教育 / 教員養成 / 教育実習 / 臨床経験科目 / 教職 / リフレクション / 省察 / 履修カルテ |
Research Abstract |
本研究の目的は,教職を目指して教員養成課程に入学した教員養成初期段階の学生が教職キャリア志向を向上しつつ自分が目指す教員像を構築できるように,経験を蓄積し省察を深化するための教職eポートフォリオの活用方策を明らかにすることである。初年度である平成25年度は,次の研究を実施した。 1.国内外の教師教育及びeポートフォリオに関する文献及び情報を収集した。その結果,「教職実践演習」の導入に伴って,教職志望学生の学びの履歴を蓄積して省察を促すために教職ポートフォリオが多くの大学で活用されている一方で,eポートフォリオを実際に開発し運用している大学は限られていることがわかった。 2.信州大学教育学部において開発した教職eポートフォリオの運用及び機能強化を行った。「教職実践演習」を履修する4年次生が,1年次から蓄積してきた教職ポートフォリオを活用して,自己の学びの履歴をふり返ることができる体制を完成させた。そして,教職eポートフォリオを用いた教職志望学生(特に1年次生と3年次生)による相互コメントの分析を試みた。その結果,3年次生間の相互コメントには,教員養成初期段階の1年次生による相互コメントと同様の特徴が見受けられる一方で,相互コメント対象者が教職eポートフォリオに書いてある内容を参照・引用しつつコメントしていることが多いことがわかった。 3.本研究課題に関連して,次の研究発表を行った。「教職eポートフォリオにおける相互評価機能の実装」日本教育工学会研究会(長崎大学),「教職eポートフォリオを活用した教員養成初期段階の『目指す教師像』の構築」教育システム情報学会2013年度第2回研究会(千歳科学技術大学),「教職eポートフォリオを用いた教員養成初期段階の学生による相互評価の分析の試み」日本教育メディア学会第20回年次大会(和歌山大学),など。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に述べられている本研究の目的3点のうち,特に「経験を蓄積し省察を深化するには教職eポートフォリオをどのように活用すると効果的か」について文献・資料の収集を行い,また関連する研究動向の調査を行った。 また,教職eポートフォリオの運用が順調に進んで4年間にわたる臨床経験科目の全てで活用し始めたことによってデータを収集できたため,2年次に予定していた学生間の相互コメントの記述分析を初年度に試行的に行い,分析の方向性を見いだした。 そして,初年度の研究・調査の結果を,日本教育工学会研究会,教育システム情報学会研究会,日本教育メディア学会年次大会等において学会発表を行ったことからも,おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年次の平成26年度においては,初年度の研究調査を踏まえて,教職eポートフォリオに蓄積された各年次での目標,自己総合評価,観点別自己評価,学生間の相互コメント,学部指導教員からの指導者コメント等の記述の分析をさらに進める。さらに,教職キャリア志向向上及び目指す教師像構築のために必要な要素についての現職教員等への聞き取り調査を行い,教員養成カリキュラムの改善を図る。また,国内外の関連学会に参加し,情報の収集やこれまでの研究調査の成果発表を進めていく。 最終年度の平成27年度においては,2ヶ年度の研究成果を踏まえて,教職キャリア志向向上及び目指す教師像構築のための教職eポートフォリオを活用方策を検討し実施する。そして,最終年度として研究をとりまとめ,国内外の関連学会に参加することに加えて,学会誌等に投稿し,研究成果を公開していく。
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Research Products
(11 results)