2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350327
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡 興造 京都工芸繊維大学, 伝統みらい教育研究センター, 特任教授 (80456904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 泰以 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (10189615)
後藤 彰彦 大阪産業大学, デザイン工学部, 教授 (50257888)
高井 由佳 大阪産業大学, デザイン工学部, 助手 (90626368)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 修復 / 文化財 / 裏打ち / 表装 / 習熟 / 自習 / 伝統産業工学 |
Research Abstract |
表装(掛軸、襖、屏風)に代表される和紙製品の国宝・文化財修復は、日本の国宝・文化財を後世に伝えるためになくてはならない技術である。しかし、日常に表装製品が減少したことから、これまでのような「見て覚える」技術の習得方法では、技術の維持や技術の伝承が困難になってきている。そこで本研究では、国宝・文化財修復における熟練職人の技の定量化を行い、新人職人がより短い期間で技術の習得を行うための教育システムの開発することで、国宝・文化財修復の技術を後世に伝え、新人職人の早期育成に貢献することを目的とする。 まず、熟練者と非熟練者の増裏打ち工程における違いを明らかにするために、3次元動作解析システムを用いて比較を行なった。この結果、熟練者は非熟練者に比べて、同じ大きさの紙への作業であっても叩いている範囲に違いがあることが分かった。非熟練者においては叩けていない場所があり、このことは接着の斑に繋がるもとの推察される。また、熟練者は打刷毛で叩く場所の距離を非熟練者よりも長くとることで少ない叩き回数で紙全体を叩き、効率よく作業を進めているということが示唆された。さらに、熟練者の打ち刷毛の動かし方には、どの場所を叩いている時も一定の傾向が見られたが、非熟練者の打ち刷毛の動かし方は叩く場所によって異なっていたことから、非熟練者は均一な力で紙全体を叩けていない可能性が示唆された。 次に、眼球運動測定装置を用いて増し裏打ち工程での視線の動きを明らかにした。この結果、熟練者は確認しなければならない場所を確実に順序だてて見ており、このことが作業時間や視線の移動速度における熟練者と非熟練者の差異として表れていると考えられる。 さらに、仕上がった製品の剥離試験より、熟練者の製品は接着度合が低いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度に予定していた筋活動の測定が行えなかったが、仕上がった製品の剥離試験を行い、熟練者と非熟練者の作業の差異が明らかとなった。剥離試験は重要であることが判明したため、条件を変えて26年度以降も引き続き行う。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に予定していた筋活動の測定を行う。 加えて、様々な糊の解析およびその糊を使用した裏打ち製品の剥離試験および強さ試験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
筋活動の測定を行わなかったため、測定および解析にかかる実験補助の人件費が発生しなかった。 筋活動の測定を行い、測定および解析にかかる実験補助の人件費として使用する。
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Research Products
(5 results)