2013 Fiscal Year Research-status Report
HEALPix法を用いた全天画像の有効利用に向けた基礎技術の確立
Project/Area Number |
25350330
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
小澤 友彦 和歌山大学, 宇宙教育研究所, 客員准教授 (00423252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾久土 正己 和歌山大学, 観光学部, 教授 (90362855)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 全天画像 / デジタル一眼レフカメラ / HEALPix / 検索システム / データベース |
Research Abstract |
デジタル一眼レフカメラを用いた全天カメラ(可視光)を開発した。温度上昇を避けるためカメラ制御用PCをハウジング内ではなく、建物内に置いた。カメラ(ハウジング)とPC(建物)の間をUSB延長(LANケーブル)にて接続し、50m以上の距離での制御を可能とし、撮影を自動化した。この全天カメラを紀美野町みさと天文台に設置した。またハウジング内の環境をモニタできるよう温度・湿度計を設置し、リモートにて機器の動作環境を測定している。結果、長期(数カ月以上)に渡り、昼夜連続の安定した撮影を実現した。また外部ネットワークにあるサーバへのデータ転送や保存を自動化した。これにより外部機関へカメラ等を設置する場合のネットワーク上の制限(必要な設定内容等)を把握した。得られた画像から当初想定より月明かりの下でも星が確認でき、試作した星の自動検出ソフトでも検出に成功している。現在、撮影を継続しながら天候や月明かり(月齢による違い)、薄明などの条件の違いによる検出程度の試験を進めている。またその結果から、露出などの撮影条件へも繰り返し反映している。 近赤外線カメラでの撮影試験を進めている。月明かりの下ではゴーストが強く発生し、星の検出の障害となった。赤外線フィルターの設置位置の変更でゴーストの軽減を現在進めている。 全天画像のデータベース検索の試作として、国立天文台天文データアーカイブセンター・すばる望遠鏡データアーカイブ(SMOKA)の協力のもと、保管される全天画像を用いて、データベースを用いた検索システムの構築、公開を行った。撮影日時や場所、露出条件など画像の諸元を用いて、日時ばかりでなく、昼夜や月明かりの有無、惑星の有無などの条件でも検索できるシステムを実現し、公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
総合判定は(2)である。1.当初の計画以上に進展した内容 と、2.やや遅れている内容 の両者あり、結果、概ね順調と判定した。以下詳細である。 1.当初の計画以上に進展した内容:全天カメラの撮影システム(可視)の製作は完了し、安定した動作を得た。これは、カメラの設置場所が天候などの条件により安全上保守作業が行えない状況のため、作業効率を考え、動作の安定化を優先的に行った事による。次に、検索・公開システムの構築は、撮影日時や場所などの諸元のみを用いたものであるが開発を行い公開に至った。この開発は、国立天文台天文データアーカイブセンターの協力を得て、すばる望遠鏡データアーカイブにて保管管理される岡山天体物理観測所ならびに広島大学東広島天文台の全天モニタ画像を対象とした検索システムの構築が行えたことによる。 2.やや遅れている内容:全天カメラの撮影システム(近赤外)の製作は、街灯などの光源(または月明かり)がある場合にゴーストが強く発生し、星像の検出の妨げとなっている。そのため、赤外線フィルターの設置位置を変えたり、赤外線フィルターのカット波長を変更するなどして現在調整を進めている。次に、画像解析ソフトウェアの開発は着手済みではあるが明確な成果が得られていない。可視全天画像での星像の検出は行えているが、検出した星のカタログとの同定は未着手となっている。これは可視全天カメラの安定動作の調整等作業を優先したためである。 以上が平成25年度における研究開発内容の増減分であり、他の要件は当初予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、すでに開発した全天カメラを新たに一式製作し、国立和歌山大学に設置する。この全天カメラにより都市部における全天画像の撮影を行う。カメラ開発は済んでいるが、設置場所やインターネット環境の調整などが必要である。また、近赤外線での全天画像による効果的な天候判断の可能性について評価する。これは、以下の解析ソフトウェア開発とも強く関連し、相互に進める必要がある。 以上により、本件研究の中心は、画像解析ソフトウェアの開発と検索・公開システムの構築へ移る。 紀美野町みさと天文台で蓄積された画像から、星の検出・同定を行い、画像上の座標系(World Coordinate System)の係数計算の技術確立を進める。和歌山大学など都市部で得られる全天画像においては、検出される星が少ないことが予想されるため、星像検出や星の同定などを行う画像解析ソフトウェアの開発には困難が予想される。画像の蓄積を進め、有効な統計量も評価に入れ解析ソフトウェアの精度向上が必要な課題と考えられる。またHEALPix法による空間分割を進め、各画像・各分割された天域での晴天・曇天などの情報を含めデータベース化を行う。既に構築された全天モニタ画像公開システムを元にHEALPixによる空間分割された各領域でのテーブル構造の構築を行う。 以上の解析ソフトウェアの開発ならびに検索・公開システムの構築には、重要なポイントがある。それは全天画像の処理にかかる時間が、撮影の頻度(1枚/分)を下回らなければならず、精度だけでなく速度向上を図ることも重要である。国立天文台など外部協力機関のサーバなどを試用し、計算機に求められる性能などの評価も同時に行い機器選定を進めることで対応する。
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Research Products
(3 results)