2014 Fiscal Year Research-status Report
情報科教育推進のためのeラーニング教材と教員支援システムの開発
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25350337
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
西野 和典 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (70330157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 参吉 帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (70100766)
大倉 孝昭 大阪大谷大学, 教育学部, 教授 (50223772)
浅羽 修丈 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (50458105)
尋木 信一 有明工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (00353342)
大西 淑雅 九州工業大学, 学習教育センター, 講師 (50213806)
山口 真之介 九州工業大学, 学習教育センター, 助教 (00380733)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 情報教育 / 情報科 / eラーニング / 教員支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)情報科教員研修用のeラーニング教材:情報科の教育方法の開発や見直しに参考になるeラーニング教材として、平成25年度の授業で収録した「教育工学」の授業動画を編集し、その一部を試用した。また、他の授業録画教材(情報システム系科目)と合わせて公開する準備を進めた。 (2)授業評価システムを用いた情報科教員の授業評価・改善:授業動画にコメントをリンクする授業相互評価機能(平成25年度までに開発済)に加えて、授業のカテゴリー分析、ST分析を半自動化する機能を付加し、授業での教員と受講者の行為を可視化して評価する機能を実現した。教職課程の授業科目「教科教育法(情報)」の模擬授業を評価する際に、開発した授業評価システムを試用した結果、授業動画にコメントを付与する機能とともに、授業行為を定量的に分析・可視化する機能を利用することによって、模擬授業実施者は、より分析的に授業を評価・改善することができるようになった。 (3)Web情報科診断評価テストの開発と活用:平成25年度に新教育課程用に改訂した「情報科学習診断テスト」を大学の新入生を対象に受検させ、その結果を分析し、その後の情報教育に活用した。 (4)高校新教育課程での情報科教育用教材の開発:情報科の科目「社会と情報」の教材では、教員の要望が高い情報モラルの学習教材を開発した。具体的には、高校生用のリーフレット教材「スマホと情報モラル」(簡易版:全10ページ、詳細版:全21ページ)を開発し、情報科教員が情報モラルの指導に利用できるようにした。「情報の科学」の教材としては、平成25年度に開発したプログラミング支援システム(FreeBee)について、高校の教員が多数参加する日本情報科教育学会の全国大会で発表し、利用の普及に努めた。また研究の一部で、情報科教員のための情報科教育法の図書や、情報メディア等4科目の教授用指導書の出版を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科学研究費補助金での研究は、次の4つの研究内容から構成されている。(1)~(4)の研究課題ごとに、それぞれ実施した内容を記し、達成度を検討すると次のようになる。 (1)情報科教員研修用のeラーニング教材:現在、高校で情報科を担当する教員の多くは、大学での情報の教育方法を学んでいない教員が大半である。平成26年度は、当初の予定通り「教育工学」のビデオ教材を編集し視聴できるように準備した。(2)授業改善のための授業評価システム:授業動画にコメントをリンクする授業相互評価機能に加えて、授業のカテゴリー分析、ST分析を半自動化する機能を付加し、授業での教員と受講者の行為を可視化して評価する機能を実現した。当初計画した授業評価システムの機能強化を実現したものである。模擬授業で試用した結果、これまでの授業評価システムでは明らかにできなかった授業の課題を可視化することができ、想定以上の成果を挙げることができた。(3)情報科診断評価テストの開発と活用:この情報科診断評価テストについては、残念ながら、平成25年度に作成したテストを継続して活用したにとどまったが、安定した評価テストとして広く活用されるようになった。(4)高校新教育課程での情報科教育用教材の開発:平成26年度は、高校の情報科教育で大切な内容である「情報モラル」の教材開発を行った。利用する高校の実情に応じて選択することができるように、簡易版と詳細版の2種類を開発することができた。また、情報科教員のための情報科教育法の図書や、情報メディア等4科目の教授用指導書の出版を行った。 以上、(1)~(4)の研究課題に沿って平成26年度の研究成果を説明した。 (1)と(3)については予定通り、(2)と(4)については予定をやや上回る成果を挙げることができたといえる。したがって、全体的には、おおむね順調に研究がすすんでいると判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の課題は、(1)情報科教員研修用のeラーニング教材、(2)授業改善のための授業評価システム、(3)情報科の到達度評価及びeラーニング教材、(4)新教育課程に対応する情報科のデジタル教材を開発してWebで公開することによって、情報科教員の総合的な支援環境を実現することである。 (1)については、これまでに作成した「プログラミング」などの情報システム系の教材や「教育工学」や「教科教育法」などの教育方法の教材を利用可能にして、情報科教員の要望に応じてeラーニングができるようにする。 (2)については、平成26年度に開発したカテゴリー分析等の授業行為の可視化するツールを付加した授業評価システムを、全国の情報科教員が利用可能になるよう公開する。また、再度模擬授業で試用し、評価して安定した活用ができるように調整する。(3)については、H25年度に開発した情報科の到達度テストの質問数(40問)を増やし、評価テストとしての信頼性を向上させ、テストの結果に応じて学習できるeラーニング教材を作成する。(4)については、「情報の科学」の教材をさらに増加させるとともに、「社会と情報」の教材を開発する。開発した教材はデジタル化して、本学で管理するサーバに教材の作成・共有のためのSNSサイトを作り、全国の情報科教員が利用可能になるようにする。また、開発者と利用者が情報交換しながら、教材を改良していく仕組みを作る。 研究した成果に関しては、日本情報科教育学会及び同学会研究会、教育システム情報学会情報教育委員会等に協力を依頼し、教材の利用促進を図る。なお、得られた成果は、教育工学会、教育システム情報学会、日本情報科教育学会等の学会で発表するとともに、高校の情報科教員の研究組織と交流し、開発した教材やシステムを紹介して利用の促進を行う。
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Research Products
(9 results)