2013 Fiscal Year Research-status Report
デジタルトモシンセシスを模擬した教育用シミュレーションツールの作成
Project/Area Number |
25350342
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
乳井 嘉之 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (20279780)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教育支援システム / デジタルトモシンセシス / 画像再構成 |
Research Abstract |
近年,病変部を高い空間分解能で正確にとらえることができるFPD検出器を搭載したX線装置が急速に普及している.これに伴い,デジタルトモシンセシスは臨床的に有用な技術として,胸部検診,整形外科領域,乳房検査の領域で有用な検査法として利用されつつある.このトモシンセシスは,一般的なX線CT装置とは異なり,収集角度が40度程度の限られた角度から収集された投影データを用いて画像を再構成する技術である.このため投影データを周波数空間上で考えると周波数の情報が何も無い領域がほとんどを占め,不完全な投影データからの画像再構成を余儀なくされる.このため画像再構成法においても従来の手法をそのまま適用することができず,トモシンセシスの画像再構成法を理解することは教育上とても重要である.またデジタルトモシンセシスは特殊な装置なため,教育機関においては設置されていないところもあり,学内実習及び実験において,実際にトモシンセシスの画像再構成を実施出来ない場合がある.そこで本研究はデジタルトモシンセシスの装置が無くても,その基本原理および諸特性を把握することが可能な簡易的な教育用シミュレーションツールを構築することを目的としている.初年度(平成25年度)は,一般的なデジタルX線テレビ装置のジオメトリのプログラム化を行い実際の装置から得られた実測値とシミュレーションの結果を比較して,シミュレーションの妥当性を検証した.そして先行研究で作成した画像再構成プログラムを適用して,簡易的な方法でシミュレーションの有用性を示し,その内容を日本医学物理学会で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の実施計画は,一般的なデジタルX線テレビ装置のジオメトリのプログラム化を行い実際の装置から得られた実測値とシミュレーション結果を比較し,シミュレーションの妥当性を検証することである.初年度はシミュレーションのためのトモシンセシスのジオメトリの構築および検証を行うために,本学にすでに設置してある Safire(Shimadzu)をモデルとして採用した.先ずは対象装置の仕様書および医療機器メーカから正確なジオメトリに関する情報(SID,X線管焦点から回転中心の距離,実際の検出器サイズ等)を収集し,この結果をもとにジオメトリのプログラム化を行った.そして,実測の投影データを作成したプログラム内に取り込み,画像再構成を行った.この結果,実際の装置で作成した再構成画像と比較しても,ほぼ同様の画像が得られていることからジオメトリのプログラム化は良好な結果と思われる.よって,初年度の予定はおおむね計画通りに進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は画像再構成アルゴリズムの作成を中心に取りかかり,数値ファントムおよび実測データとの比較から検証を行う予定である.先ずは今年度初頭に画像再構成プログラムであるSA法とFBP法のプログラム化を行い,その後,統計的手法を用いた逐次近似的画像再構成法のプログラム化を行う予定である.透過型の逐次近似的画像再構成法としては,計算時間の高速化を考慮したOrdered Subset Covex algorism法や透過型のML-EM(Maximum Likelihood - Expectation Maximization) 法を適用する予定であり,さらに画質や計算時間等について比較検討を行う予定である.また画像再構成プログラムの検証については,実際の装置とシミュレーションのデータ収集の際のジオメトリを統一し,実際の装置から得られた投影データを,作成した画像再構成プログラムの中に読み込み画像再構成を行う.そして,実機のワークステーションで再構成した再構成画像と本シミュレーションで再構成した画像を比較し再構成プログラムの有用性を検証する.平成26年度の研究内容が本研究で要となる部分で,かつ,最も時間を費やす部分である.この一年間は計画的に事を進め,画像再構成プログラムの慎重な検証を行いたいと考えている.研究成果については可能な限り,国内の学会で発表する予定である.
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