2015 Fiscal Year Research-status Report
デジタルトモシンセシスを模擬した教育用シミュレーションツールの作成
Project/Area Number |
25350342
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
乳井 嘉之 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (20279780)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育支援システム / デジタルトモシンセシス / 画像再構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
デジタルトモシンセシスは特殊な画像再構成法であり,この再構成の原理を理解することは教育上とても重要なことである.また,デジタルトモシンセシスは特殊な装置であるため,教育機関においては設置されていない施設も存在し,そのような教育機関においては,学内実験および実習においてトモシンセシスの画像を実際に再構成できない場合がある.そこで本研究の目的は,トモシンセシスが設置されていない施設においても,その原理および諸特性を把握することが可能な簡易的な教育用シミュレーションツールを構築することである.当初,研究期間は平成25年度から平成27年度の間であったが,期間延長申請し,平成28年度3月22日に承認を得た.これまでの概要を以下に記す.初年度は本学に設置しているデジタルX線テレビ装置のジオメトリを計測し,プログラム化を行い実際の装置から得られた実測値とシミュレーションの結果を比較し,本研究の妥当性の検討を行った.この内容は所属学会である日本医学物理学会で発表した.次年度の平成26年度は,主に画像再構成アルゴリズムの作成に着手した.作成した画像再構成アルゴリズムは,装置のジオメトリに適応したShift and add法,解析的手法であるフィルタ補正逆投影法,そして,逐次計算を行う画像再構成法である.これらの画像再構成アルゴリズムを作成して,シミュレーション結果の妥当性の検討を行ったが逐次計算のアルゴリズムにおいて大幅な時間がかかり,前年度から,この点がボトルネックとなっている.平成27年度は画像再構成アルゴリズムの改良とユーザフレンドリーなソフトウエアの構築としてGUI化を試みていたが,諸事情が重なり,研究に着手することが難しくなり,研究に遅れが生じた.GUI化は順調に進んでいるが,再構成時間の改善についてはまだ改題が残されている.今後,この点については画像の縮小化を施す予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は本学に設置しているデジタルX線テレビ装置のジオメトリを計測し,プログラム化を行い実際の装置から得られた実測値とシミュレーションの結果を比較し,本研究の妥当性の検討を行った.そして,簡易的な方法でシミュレーションの有用性を示し,所属学会である日本医学物理学会で発表した.平成26年度は主に画像再構成アルゴリズムの作成に着手した.作成した画像再構成アルゴリズムは,デジタルトモシンセシスのジオメトリに適応したShift and add法,解析的手法であるフィルタ補正逆投影法,そして逐次計算を行う画像再構成法である.これらの画像再構成アルゴリズムを作成して,シミュレーション結果の妥当性の検討を行った.解析的手法を用いた結果では,実際の装置に附随するワークステーションの再構成画像とほぼ同様な結果が得られたため,デジタルトモシンセシスのジオメトリに適応した画像再構成アルゴリズムは良好に作成できていると思われる.一方,逐次計算を用いたい画像再構成法では計算時間がボトルネックになっている.この点については投影データの縮小化を行い対応することを検討している.現在,逐次計算を用いたい画像再構成法の改善策とソフトウエアのGUI化を行っており,この作業を遅くても平成28年度の7月までには終了する予定である.平成28年度は,アルゴリズムの改良,そしてGUI化を年度初頭に目処をつけ,論文化に取りかかる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,画像再構成時間の改善とこれまで作成してきた画像再構成アルゴリズムをGUIを用いてユーザーフレンドリーなツールの構築に取りかかる.まず平成28年度の初頭に平成27年度までに残された課題である逐次計算を用いた画像再構成アルゴリズムの計算時間の改善について取りかかる予定である.ここでは画像サイズおよびコンパイラの最適化などの観点から実施可能な再構成条件を見いだすこと,そして,その作業と並列してGUIを用いたアルゴリズムツールの構築を行う予定である.この作業を平成28年度の7月までに終了し,シミュレーションツールの完成を目標としている.また,作成したシミュレーションツールは,再構成画像の画質評価および使いやすさの点を検討し,論文化と並列して修正を加えていく予定である.完成したツールは後期に開講予定の医用画像情報学演習で適用し,有用性を確認したいと考えている.当初は学生へのアンケート調査も考えていたが,調査にあたり,本学の研究安全倫理委員会の承認を得なければならい事項に該当する恐れがある.このため,申請が間に合わない場合はシミュレーションの作成までにとどめ論文化を進めていく予定である.
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