2014 Fiscal Year Research-status Report
コンピュータ利用試験におけるバイオメトリクスを用いた不正行為検出
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25350355
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
小方 博之 成蹊大学, 理工学部, 教授 (20349161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 聡 成蹊大学, 理工学部, 助教 (70516377)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オンライン試験 / 本人認証 / タブレット / マルチタッチジェスチャ / 替え玉受験 / 自宅受験 / バイオメトリクス / 行動特徴 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に実施した研究では(1)「タブレット端末内蔵カメラを利用したタッチジェスチャからの本人認証可能性の確認」、(2)「タップ操作において強いなりすましが行われた場合の本人認証精度評価」、(3)「受験者の眼球運動を利用した黙読課題と、リスニング+黙読の二重課題の判別」および(4)「身体化エージェントが誘発する存在感の受験者への影響」に関する成果が得られた。 (1)タブレットPCでのオンライン試験で、替え玉を防止する目的で、内蔵カメラを用いて、受験者の複数種類のタッチジェスチャから本人認証可能か検証を行った。具体的にはフリック操作およびピンチ操作について本人認証可能性を検証した。条件を統一するために、開始状態と終了状態を固定し、実験を行った。その結果、92%の正解率を得ることができ、前年度行ったタップ以外のタッチジェスチャでの本人認証可能性を確認した。 (2)替え玉が積極的に対策してきた場合を想定し、タップ操作における本人認証精度を評価した。実験では、替え玉役になりすましの練習機会を与えたうえで評価を行った。被験者の協力を得て評価したところ、1-最近傍法でFAR23%(FRR は6%)という結果が得られ、対応が必要であることがわかった。 (3)では、受験者に関する事前情報なしに、眼球運動から黙読課題と聴覚的不正行為を模した二重課題のどちらに取り組んでいるのか判別可能か検証を行った。様々な特徴量から判別を試みたところ、正解率は最高でも77%となり、事前情報なしでは判別が容易ではないとの知見が得られた。 (4)ではコンピュータによる不正行為監視が受験者に与える影響に関する基礎的研究として、身体化エージェントを提示した場合の受験者の解答時間への影響を調査した。実験を行い、得られたデータを分析したところ、エージェントの提示に気付いた被験者には実際に社会的促進・抑制の影響が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度実施状況報告書では、「今後の推進方策」として、「研究実績の概要」において先述した4つの課題の推進を挙げた。 研究課題(1)、(2)、(4)については実験の立案、実施、データの分析を完了し、それぞれの成果を出すことができた。 研究課題(3)については25年度に採取したデータを分析に利用し、成果を出すことができた。得られた成果は、眼球運動特徴の個人差は大きく、事前に個人の特徴を得ることなしに、本人が2つの課題のいずれを遂行しているかの判別をするのは容易でないというもので、計画時の予想とは異なるものだが、今後の研究を推進する上で有用な知見である。 このように、平成26年度に実施する計画だった4つの研究課題について、いずれも結果を得ることができ、研究は順調に進展したと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には3つの課題を推進する予定である。 1つめは「タブレット端末内蔵カメラを利用したタッチジェスチャからの本人認証可能性の確認」の継続課題である。平成26年度の研究では操作を統一した条件下で本人認証可能性を確認したが、そのために被験者のタッチジェスチャが不自然になっている等のケースが見られた。27年度は実験方法の見直しを行い、より信頼性の高いデータの取得を行うことを検討する。 2つめは「タップ操作において強いなりすましが行われた場合の本人認証精度評価」の継続課題である。平成26年度の実験を踏まえて、練習方法や本人判別方法の改良を検討する。 3つめは「受験者の眼球運動を利用した黙読課題と、リスニング+黙読の二重課題の判別」で得られた知見を受けて設定する課題である。今度は不正行為検出という観点とは逆に、マスキング等の技術を利用した不正行為防止技術の開発に取り組む。 「身体化エージェントが誘発する存在感の受験者への影響」については主担当の研究分担者が休職となり、研究継続が不可能になったため、後継課題を設定しない。
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Causes of Carryover |
業務多忙もあり、平成26年度に予定していた国際学会発表関連の費用、および、論文誌の論文掲載費用の支出がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
目下論文が1本査読中であり、平成27年度にその分の論文掲載費用の支出を計画している。
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Research Products
(4 results)