2013 Fiscal Year Research-status Report
Geogebraを用いた電子教材開発の調査と開発支援環境の構築
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25350357
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
阿原 一志 明治大学, 総合数理学部, 教授 (80247147)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | geogebra / 電子教材 / 電子教材作成支援 |
Research Abstract |
(1)現状の中等教育に携わる教員がgeogebraを初めて手にして,最初の教材をつくりそれをインターネット上にアップロードするためにどの程度の最低限の知識が必要かを調査・研究した.この研究の結果として入門的な日本語によるマニュアルを作成し,これをhttp://www56.atwiki.jp/geogebra_kyozai/pages/69.htmlにアップロードして一般公開した.この結果については統計数理研究所における研究集会「GeoGebra の数学、数学教育、および統計教育での利用」において研究発表を行った. (2)数式処理学会において招待講演「数式処理を利用した効果的な教材の活用について」を行い,この中でgeogebraをはじめとする数式処理システムを教材作成に効果的に用いるための構想と問題点を列挙した.具体的には以下の3点を指摘しこれからの研究課題とした.(a)日本の教科書における数式表示フォーマットには独特の傾向(癖)があり,geogebraをはじめとする数式処理システムがそのフォーマットの傾向に対応するオプションをもっていることが重要である.(b)正確に図を描くだけではなく「分かりやすくデフォルメされた図を描く機能」も時には有用である.(c)空間図形の教材提示については画面上でのグラフィックスでは十分でなく,3Dプリンタなどとの連携も必要である. (3)「geogebraで日本語教材を作ろう」サイトにおいて,典型的ないくつかの教材について「教材の作成方法」というレジュメを作成し一般公開した.これはgeogebraを手にしたばかりの教員が,自分のイメージ通りの教材をgeogebraで作るためのヒントとなることを目標としている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的のうち「電子教材に関する日本国内におけるコミュニティを形成すること」については,研究集会「GeoGebra の数学、数学教育、および統計教育での利用」に参加してコミュニティ形成に向けた活動の継続を確認した.またインターネットサイトでgeogebra初心者向けのマニュアルを一般公開して,geogebraのコミュニティに参加しやすい環境の整備に努めた. 研究目的のうち「geogebraによる日本語教材つくりの意味を明確にすること」について,近年中に大規模に導入されると考えられる電子教科書との併用について研究発表をおこない,電子教材を用いた新しい教育スキルの開発の必要性を主張した.その意義を踏まえながら具体的な入門マニュアルを一般公開した.また,いくつかの具体的な教材例について,geogebraによる作成手順を説明するレジュメを一般公開した. 研究目的のうち「geogebraと現在の高校のカリキュラムとの相性の調査をすること」について,高校の数学の新指導要領に応じたgeogebaによる日本語教材をサイト公開しており,特に新しく追加された「立体図形」と「データ分析」について,日本語教材を作成する助けとなるような初心者マニュアルと作成・一般公開した. 研究目的である「教員のgeogebra教材作成のためのノウハウの蓄積をすること」について,geogebraによる日本語教材のパターン(スライダーによるインタラクティブな動き,穴埋め回答,アニメーションなど)についてその具体的な作成手順を解説するレジュメを作成して一般公開した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的である「日本語教材つくりのためのgeogebraの改善の提案を行うこと」に沿って,geogebraを使ったこれまでにないパターンの教材作りの可能性について研究・提案をする.つまり,geogebraのインタラクティビティを生かしながら,学習者が自然な発想で教材に取り組むことができ,かつこれまでに作成したgeogebra教材にないタイプの教材の可能性について提案を行う.具体的には「数種類のアニメーションをランダムに表示する機能」「パワーポイントのようなスライド画面の連続表示」などの方法を研究し,必要があればgeogebra本体の改造によってこれを実現する研究を行う. 研究目的である「geogebraによる日本語教材の優位性の証明すること」については,geogebraによる日本語教材特有の授業案作成を提案し,一般公開することを第一の目標とし,それらを応用して中学・高校などで電子黒板を導入している学校で実験授業を行うことを最終的な目標とする. 研究目的「海外のgeogebraによる数学教材の翻訳」についてもインターネットサイト「geogebratube」に収納されている1万を超える電子教材について,日本の新指導要領のカリキュラムの中で引用できるものがあるかどうかを引き続き調査・作業を行い,有用と思われるものがあれば日本語に翻訳した教材を(オリジナル教材の作者の許可の下に)作成する.また海外のgeogebraに関する書籍についても調査を行い,日本語に翻訳できるものがあれば行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
geogebraによる日本語教材について,またgeogebraによる日本語教材を作成する方法についてのマニュアルについて,効果的な内容になっているかどうかを調査するために人件費を用いてモニターアンケートを取る予定であったが,これは平成25年度に行うことができなかった. 研究打ち合わせのための旅費を支出する予定であったが,東京で開かれた研究集会があったり,招待講演などで旅費を科研費から支出する必要がなくなった件などがあり,当初の見込みより少ない支出となった. 平成26年度には人件費として,電子教材および電子教材マニュアルの内容の適切さについてのモニターアンケートをとるための費用を支出する予定である. 旅費については必要な研究打ち合わせのための旅費として適切に支出する予定である.
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Research Products
(5 results)