2014 Fiscal Year Research-status Report
Web教育における瞬き・瞳孔を用いた理解度予測システムの開発
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25350361
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
足達 義則 中部大学, 経営情報学部, 教授 (00115669)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | e-ラーニング / 理解度予測 / 瞳孔径 |
Outline of Annual Research Achievements |
自宅学習や遠隔教育のe-ラーニングでは、教授者は時間的にも空間的にも学習中の反応をリアルタイムで捉えることが難しく、きめ細かな教育を行うことは不可能に近いと思われる。Web教育においても対面授業と同等以上の効率化を図るためには、学習者の理解状況を把握し、適切にアドバイスしたり、教材を選定したりすることが重要であるが、その方法は確立されていない。 これまでの研究で、瞬きの頻度が集中度の変化(集中時には瞬きの頻度が減少し、途切れるときに瞬きの頻度が上昇する)に対応していることを見出した。さらに、瞳孔径の変化が快・不快と連動し、理解度と繋がりがあることを見出したので、瞳孔径を自動的に測定し、リアルタイムで学習者の状況を予想できるシステムの開発を目指している。 これまでの経験では、瞳孔に環境光、特に蛍光灯の光が重なり濃淡で瞳孔を検出することが難しかったり、画像の精度が良くないため瞳孔画像そのものが小さく径をそれ程精度よく計測することができないことなどがあった。そこで、偏光フィルタを使用することで環境光の影響の低減を図った。これによりカメラの位置をディスプレイ上部中央に固定できた。また、偏光フィルタにより、瞳孔と虹彩の濃度境界の閾値を明確にすることができ、環境の影響も多少低減することができ、比較的精度の良い分離が可能となった。さらに、ズーム機能の付いたWebカメラを採用することで画像精度を上げることは可能であるが、瞳孔の追跡、切り出しが難しくなり、最適な条件を設定するに至ってはいない。 瞳孔検出アルゴリズムの高速化については、OpenCVでプログラミングすることに変わりはないが、これまでの手続きを簡略化し、7つの関数を1つに集約することで処理速度を上げることが可能となり、リアルタイム処理が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年に引き続き、当初目の検出に使用する目的で購入したfaceAPIのカスタマイズができず、結局OpenCVでプログラムを開発しなければならない状況であった。前年に作成したプログラムが、処理に時間が掛かるため、リアルタイム処理を可能とするようなアルゴリズムを最初から作成しなければならなくなった。そのため、検証実験まで手が回っていない。しかし、26年度にはリアルタイムで瞳孔径を測定できるようになったため、理解度検証実験に着手できる状態になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
瞳孔径と虹彩径の比率から瞳孔径の変化を計測するつもりである。虹彩径は円近似で直径を求め、瞳孔径は画像が小さいのでピクセル数から計算つもりでいる。どちらも精度よく測定することは極めて難しいため、ある程度高解像度の画像が必要となる。目検出の頑強性と精度の問題を同時に満たす設定条件を探る必要が残っている。さらに、被験者の変化に追従できるかどうかについてはこれからの課題として残っている。被験者数を増やしながら、慎重に決定していく必要があると同時に、理解度と瞳孔径の変化の相関性を調べていかなければならない。
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Causes of Carryover |
当初予定していた市販されている顔認識ソフトウェアfaceAPIのカスタマイズがうまく機能しなかったため、全てのプログラムをOpenCVをベースに自作する必要性が生じた。その結果、当初に予定した瞳孔径計算と理解度の関係を調べる実験に着手することができず、人件費で計上した金額を使用することができなかった。また、実験に伴う物品の購入もできなかったため物品費の支出がなかったことで次年度に残してしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度で基本となるプログラムは出来上がったため、このプログラムの簡単化と高精度化(特に、個別の被験者に特有なテンプレートやカスケードを作成)、頑強性を図りながら、瞳孔径と理解度の相関実験をすることが可能であり、謝金として、および物品費として当初予算と合わせて支出する予定である。
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