2014 Fiscal Year Research-status Report
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25350369
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
石原 学 小山工業高等専門学校, 電気電子創造工学科, 教授 (20211047)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教育工学 / ネットワーク / バーチャルリアリティ / 力覚 / 触覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
VRによるシステムの利点として、プログラムを変更することで様々な内容の技術者訓練が1つの装置で行えることや、作業環境を変化させることが容易に実現できる利点がある。さらにネットワークを利用することで、複数人で行う訓練を使用者がそれぞれ離れた地点にいても行うことができるといった点が挙げられる。そこで、インターネットなどのネットワークを介するVR空間ではネットワーク遅延やパケット欠落といった問題や、情報量の違いから各感覚のデータ伝送の時間について検討した。VR空間で一つの作業を行うときに発生する視覚・聴覚・力覚の時間差による影響についてVR空間内でのドラム演奏システムを作成して実験した。その結果、遅延による力覚・視覚データの時間差が10[ms]、聴覚・力覚データの時間差が40[ms]を超え始めると差異を感じる使用者が増え始めるという実験結果を得られた。 力覚装置を利用した電気工作の教材として、はんだ付けシステムについて検討した。(a)力覚装置二台を制御用PCに接続することで、はんだとはんだごてとした。作業は仮想空間内で二台の力覚装置が同時に操作可能とする。(b)初心者およびこのシステムに不慣れな対象者用に練習モードと実践モードの2種類を用意する。練習モードでは、はんだ付け動作をひとつずつ段階的に分けて説明することで動作方法を覚えると同時にはんだ挿入のタイミング、挿入角度の判定を理解する。強制的に基板から外すよう力覚装置を制御し,はんだごてを抜くタイミングの把握を覚える。また、手首を固定させるために、力覚装置を強制的に固定する制御を行う。実際にはんだ付けシステムを運用し評価基準は、システムの操作性・指定角度に固定できた・抜き差しのタイミングの理解・手首の固定が図られた・はんだ付け手順の理解・重力の感覚・はんだの減る感覚などを対象として実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ネットワークが介在したときの、視覚・聴覚・力覚について、それぞれの情報量が異なっていることに着目して、伝送品質について検討し明らかにした。VR空間で一つの作業を行うときに発生する視覚・聴覚・力覚の時間差による影響についてVR空間内でのドラム演奏システムを作成して実験した。その結果、遅延による力覚・視覚データの時間差が10[ms]、聴覚・力覚データの時間差が40[ms]を超え始めると差異を感じる使用者が増え始めるという実験結果を得られた。 また、電気工作の基本となる「はんだ付けシステム」を力覚装置を使用して、構築しその評価を実施した。初心者およびこのシステムに不慣れな対象者用に練習モードと実践モードの2種類を用意する。練習モードでは、はんだ付け動作をひとつずつ段階的に分けて説明することで動作方法を覚えると同時にはんだ挿入のタイミング,挿入角度の判定を理解する。強制的に基板から外すよう力覚装置を制御し、はんだごてを抜くタイミングの把握を覚える等のはんだ付けの基本を学習できるシステムを開発した。 触覚分野では、ディスプレイ表面での凹凸での特性について引き続き実験を行い、特性評価を行っている。 専門分野でのコミュニケーション向上を目指したシステムとして、コンピュータに入力された会話情報を基に英文のテキストマイニングを利用して英文中の技術会話を補佐するシステムの構築にかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究成果について、吟味し再評価を行っていく。 1)ネットワークが介在したときの、視覚・聴覚・力覚について、それぞれの情報量が異なっていることに着目して、伝送品質について検討し明らかにした。VR空間で一つの作業を行うときに発生する視覚・聴覚・力覚の時間差による影響についてVR空間内でのドラム演奏システムを作成して実験している。さらに、深部感覚であるが、摩擦を感じるシステムについて実験を行っていく。 2)電気工作のシステムについて、使いやすさについて評価する。 3)ディスプレイ表面での凹凸での特性について引き続き実験を行い、超音波アクチュエータを利用したシステムを構築して、粗さ等の特性評価を行う。 4)専門分野でのコミュニケーション向上を目指したシステムとして、インターネット上のテキストボードに入力されたチャットデータを英文のテキストマイニングを利用して英文中の技術会話を補佐するシステムについて検討する。 これらの研究から、ネットワークを利用するe-learningシステムでの設計指針を得る予定である。
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Causes of Carryover |
科研費での研究成果を予定通りに得られたことで、26年度の教職員表彰を受賞することができた。これによる、研究経費の補助が20万円分得られたので、その経費分が次年度計画の使用額に変更が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の使用計画に変更された分に関しては、研究経費や研究発表旅費に割り当てていく予定である。現在の研究進捗において、ディスプレイ表面での凹凸触覚特性について引き続き実験を行い、触覚と力覚による互換を可能とする特性のテストシステム構築に使用する予定である。
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