2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350389
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
森 修一 国立感染症研究所, その他部局等, その他 (40559522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 丹史 東京大学, 総合文化研究科, 研究員 (70589043)
廣野 喜幸 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90302819)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ハンセン病 / 隔離政策 / ハンセン病医学 / 公衆衛生政策 / 統計 / WHO / 埋葬習慣 / データベース |
Research Abstract |
明治に始まり平成まで維持された日本の隔離政策と医学の関わりを国内外の調査・研究から検証するために本年度は以下の5点の研究をおこなった。 1.日本の療養所における入所者数、死亡者数、退所者数の100年間の統計的研究がまとまり、投稿を行い採択された(「日本のハンセン病政策に関する研究I ー国内療養所における入退所者数統計ー」日本ハンセン病学会雑誌 in press」)。 2.WHOのハンセン病対策の研究を行った(「2012年から2013年上四半期における世界のハンセン病の現況について」日本ハンセン病学会誌82.133-142,2013)。 3.日本における埋葬風習「鍋かぶり葬」とハンセン病の関係を歴史学的、分子生物学的に明らかにした(「Paleopathological evidence and detection of Mycobacterium leprae DNA from archaeological skeletal remains of Nabe-kaburi (head-covered with iron pots) burials in Japan」PLoS ONE 9(2)e88356)。 4.ハンセン病回復者、療養所OB、厚生省OBなどからハンセン病に関する資料を収集し、データベース化を開始した。今年度、デタベースは皓星社に委託し基本プログラムが完成し、写真や文書、音声、聞き書き資料のデータベース化が進んでいる。 5.世界のハンセン病政策の歴史をローマ時代、ギリシャ時代、西欧中世まで研究し、まとめを行った(「ハンセン病と医学― 第1 回、ヨーロッパへのハンセン病の伝搬―日本ハンセン病学会雑誌83.22-28,2014)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は明治に始まり平成まで維持された日本の隔離政策と医学の関わりを国内外の調査・研究から検証することである。今年度は日本の隔離政策における療養所内での入所者数、退所者数、死亡者数などの100年間の総計をまとめその実態を明らかにした。 埋葬習慣とハンセン病の関わりをを歴史学的および分子疫学的に証明した。WHOのハンセン病政策と世界のハンセン病の現況を研究しハンセン病の課題を調べた。今まで未公開であった回復者(社会復帰者)、療養所OB(医師、看護師、事務官)、厚生省OBなどの資料(写真、日記、研究記録、論文、随筆)や面談資料のデータベース化を始めた。また、日本の隔離政策の要因となる世界のハンセン病の歴史を研究した。これらの成果から研究計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はハンセン病医学に関する国内外の文献資料の調査と系統解析を行う。合わせて療養所OBなどの面談調査(国内)を継続する。また、海外でのハンセン病医学の一次資料調査を開始すると共に面談調査(国内・国外)を主とした研究へと移行する。同時にデータベースの作成を進め、公的な公開を目指すが、公開した場合の倫理面の問題や公開時に予想される批判などを十分に考慮し、部分公開や申請者への公開など、どの形態を採用するかを複数の専門家を交えて慎重に議論したい。本データベースの今後の進展を見て、公開費用、データベースの作成費用などの申請を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
英文校正費用の請求が決算まで間に合わなかったため、本費用が次年度使用額となった。 英文校正費用の支払いに用いる。
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