2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350398
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
久間 英樹 松江工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (40259924)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺跡調査 / 鉱物・鉱床 / レーザ測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、鉱山坑道の定量データと採掘年代の相互関係を示す相関図を提案し、古文書等資料の乏しい坑道の採掘年代を推論する方法を示すことである。これを実現するためにCCDカメラ、2次元レーザ測域センサ、方位・傾斜角センサを搭載した遠隔操作型ロボットを開発して全国各地の鉱山坑道跡の調査を行ってきた。しかし閉山から数百年経過しているため坑道には全体が水没しているものや一部水没している物が存在する。そのため水陸両用走行が可能なロボットを新たに開発して従来調査を行うことができなかった坑道内の調査が可能となった。更に平成26年度は、平成25年度導入した3次元レーザスキャナを用いて坑道が散在する斜面の定量データを測定する新たな手法を提案した。これにより坑道内と同様に坑口周辺の様子も3Dプリンタを用いて模型として再現することが可能となった。この手法により採掘前の露頭掘跡の再現および採掘体積の算出も可能となった。 得られた定量データから絵図や古文書等の資料が存在する坑道に関して定量データとの間に相関関係があるか検討した。その結果大まかではあるが時代毎の採掘方法の特徴を構築することができた。具体的には、採掘年代と坑道断面形状および採掘傾斜角に相関関係があることが分かった。特に採掘傾斜角は17世紀後半にはほぼ水平に近くなることが示唆された。 平成26年度も平成25年度同様、鉱山探査ロボットおよびものづくりに関連した工作教室を実施した。具体的には兵庫県猪名川町教育委員会や出雲科学館と協賛して「ミニチュア水陸両用坑道調査ロボットの製作」を実施した。その他東京エレクトロン(株)が主催する東北震災復興事業に協賛して宮城県石巻市牡鹿中学校3年生を対象にものづくり教室も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的は古文書等の資料の乏しい鉱山坑道の採掘年代を推論する方法を示すことである。研究目的を達するために平成26年度研究実施計画の要点は下記の2つの項目であった。①平成25年度に定量データを採取した坑道に関して、絵図や古文書等からある程度採掘年代が特定できないか検討する。②ロボットに関しては、坑道内の物体の形状推定および保持位置情報の導出が可能か検討する。 ①に関しては、絵図や古文書等の情報から残っている下記坑道の調査結果から大まかでは採掘年代と坑道断面形状および採掘傾斜角に相関関係があることが分かった。具体的な調査場所は新潟県佐渡金銀山南沢疎水坑、相川地区大切山坑、新穂地区百枚間歩、山梨県湯之奥中山金山坑道12、山口県長登銅山第10坑道、兵庫県多田銀銅山瓢箪間歩等である。今後得られた時代毎の特徴が、絵図や古文書等の情報が残っていない調査済みの約80坑道にどのようにあてはまるか検討を行っていく。 ②に関しては、ロボットに搭載されたレーザ測域センサ、方位角・傾斜角センサのデータがパソコンの画面上にリアルタイムに表示されるようにした。これにより操縦者は坑道内の形状や傾斜を確認しながら操作することが可能となった。 また平成27年度に予定していた坑道壁面のノミ跡を採掘年代推定の指標として新たに追加できないか検討した。当初はこれまでロボットに搭載されていた2次元レーザ測域センサをマイコン制御された台座に搭載し、数ミリ間隔で移動可能なユニットを開発して坑道壁面を測定する予定であった。しかしこの方法では測定時間が多くなることが確認された。そこで坑道周辺の測定に使用した3次元レーザスキャナを用いることができないか検討した。その結果坑口付近ではあるが「ミリ単位」で坑道壁面のノミ跡深さおよびノミ跡間隔が測定できることを確認できた。 以上の理由から本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は3次元レーザスキャナを用いた坑口付近のノミ跡深さおよびノミ跡間隔測定が可能であると確認できた。但し、本スキャナは質量約5kgと従来のセンサの約20倍ある。このため従来のロボットにそのまま搭載すると不整地での走行が不可能となる。そのため平成26年度は本スキャナを搭載可能なロボットを新たに開発して岩石等が散在する坑道内の調査を行う。具体的には、安定感を重視した6輪型のロボットを開発する。このロボットを用いて採掘年代が既に古文書等から特定されている坑道の調査を積み重ねる。取得した定量データからノミ跡が採掘年代推定に利用できないか検討する。また採掘時の様子を詳細に表現するため以下のことも検討する。具体的には3次元レーザスキャナを用いて測定した坑道周辺の定量データに坑道内の定量データを融合させ3Dプリンタを用いて模型として再現する。これにより日本各地の鉱山坑道間の違いを視覚的に表現する。これら定量データや模型を元に坑道形状と採掘年代の相互関係を示す相関図を提案する。
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Remarks |
遠隔操作型ロボットを用いて得られた坑道内部の定量データを紹介している。
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Research Products
(8 results)