2013 Fiscal Year Research-status Report
金平亮三の教育研究史ー標本コレクションと大学文書からの精査
Project/Area Number |
25350403
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三島 美佐子 九州大学, 総合研究博物館, 准教授 (30346770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折田 悦郎 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (10177305)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金平亮三 / 研究史 / 台湾 / 大学史 / 植物標本 / 林学 / 分類学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、金平に関する国内外での記述や、金平による標本コレクション情報および大学文書の精査分析を元に、金平の国内外での足取りや実績そしてその研究史を明らかにし、学術的・社会的・歴史的側面から総合的に再評価すると同時に、当時の大学教官における植民地化政策に関わる学術的関与の実情を明らかにすることである。初年度は、金平による執筆物(文献、書籍、随筆等)・記述・記録の収集、九大に収蔵されている標本資料の標本ラベル情報の収集を行い、資料・情報はデータベース化をすすめた。特に、これまでほとんど内容が把握されていなかった、金平が九大に着任する以前のものを含む標本コレクション約千点について、標本のスキャニングによる電子化とラベル情報のデータベース化を行い、得られたラベル情報から、調査の履歴や同行者等を抽出した。これまでにわかった情報により年表を作成し、金平の足取りを時系列で俯瞰できるようにした。また、金平が台湾時代に所属あるいは関与した台湾の2つの研究機関の標本やデータの状況を現地調査し、同時に、それら研究機関との共同研究をすすめる確約をとりつけることができた。台湾における現地調査の過程で、旧九州帝大の研究者とまだ九大に着任していなかった金平との交流の証拠などが得られるなど、台湾では、日本においてよりも、より金平に関する情報が保存および重視されており、貴重な知見を多々得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
標本資料調査や現地調査に基づくデータ収集・アーカイブ化等は、着実にすすんでいる。一方で、キックオフセミナーは、招聘を予定していた林学史研究者とのコンタクトがとれなかったため、翌年度以降に実施することとし、初年度共同研究することが可能となった研究機関の研究者を交え実施することとした。また、まずは台湾との共同研究体制の構築を優先し、ウェブサイトについてはそれら共同研究体制を前提として設計した方がよいと判断し、翌年度に順延とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、ひきつづき標本資料の情報からの金平の足取りを整理することをすすめつつ、文書館の資料の精査を中心にすすめることとする。台湾の研究機関との共同研究体制をさらに充実させ、さらなるデータを集める。これまで得られた情報を共有および公開するうえで適したインターフェースを検討し、ウェブサイトを構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
台湾研究者を招いてのキックオフセミナーおよびウェブサイトの仕様策定を、よりよい状況で実施するために翌年度に実施することとした。そのため主に、前者にかかる旅費および後者にかかる委託費を、翌年度に繰り越すこととした。 主に台湾研究者を招いてのキックオフセミナーおよびウェブサイトの仕様策定に使用する。また、初年度の研究遂行の現状からみると、データベース化にかかる人件費をより多く必要となることがわかったため、人件費としても使用する。
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